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『STAR DRIVER 輝きのタクト』第二十二話「神話前夜」のネタバレ感想です。
◇
神話前夜。
マルク、クレイス、コルムナという三人で語られてる、文字通り「劇中劇」。ゲーム版「銀河美少年伝説」でも、タクトたち三人をモデルに書いているという旨の発言をサリナ部長はしているんだけど、ものすごい勢いで「劇中劇」。
そして、どういう理由かは不明ですが(サリナ部長とサカナちゃんの関係は不明ながらも)、「イカ大王」という共通したワードから、(少なくとも視聴者的には)「神話前夜」と「イカ刺しサム」は繋げて考えていいっぽい。
#不死になった王(コルムナ)は、その後「イカ刺しサム」の物語で死ぬことがなることから、時系列的には「神話前夜」→「イカ刺しサム」。そして、「イカ刺しサム」は、ヘッドのためだけのサカナちゃんの物語だから、タクトたちの物語はこの後。
「イカ刺しサム」に秘められた、サカナちゃんの想いは第20話の時点で解き明かせるようになっているんだけど(詳しくはこちら)、そこではっきりとわからなかった場合はこの回で、それ以前に起こっていたことも含めて納得出来るような、そんな仕掛けになっている。
簡単に説明すると、イカ刺しサムの物語は、神話前夜の「繰り返し」になっているんだと思います。ヘッドがサリナ部長に言っていたことの引用になりますが、
「だって、あれ以上続けると、今度はマルクが船の魔力に取り憑かれて、クレイスがさらに悲しむ場面が増えてしまう」(ミヤビ・レイジ)
船の魔力に取り憑かれたマルクの「if存在」として(世界観的には遠い未来の出来事として)、サムが描かれているんですね。銀河の海へ飛び出していくために、本当に大切だった少女を殺してしまったサム。コルムナと同じように愛ではなく、野心を選んだ少年。
ただ「イカ刺しサム」の物語は、単純に「歴史は繰り返す」ということを伝えたかったのではなかった。なぜなら、そこにはちゃんと「続き」があったから。「神話前夜」の物語を受けて、サカナちゃんは一つ「希望」を乗せた。人は、悲劇に終わった物語を前にしたとき、ほんの些細な願いを抱く。それは、こうだったら良いのにな、という小さな夢。サムは愛(=少女)よりも野心(銀河の海に旅立つこと)を選んだけれど、本当に大事なものは何だったのか、最後には気づいた。大いなる船(ザメク)に握りつぶされた魔女アイン(アインゴット)の力が、少しだけ効いた。
#ゲーム版「銀河美少年伝説」の描写から、カタシロの第1フェイズ(真実の眼?)は、ヘッドに受け継がれていることが窺える。
何度も書いていますが、サカナちゃんは、暗にヘッドが超銀河文明の力を欲しているのではなく、本当はソラさんが欲しかったのでしょう、と言いたいのだと思います。だから、それを認められない――なぜならそれを認めるということは、結局ソラさんはカタシロの方を向いていたのだから、自分が振られた=自分が負けたことを認めることになる――ヘッドは、サカナちゃんを追い出した。そして、今回の「神話前夜」、息子の決意の言葉を聞いてもなお、気持ちは動かない。
この「神話前夜」の物語を受け、あくまで「イカ刺しサム」の物語しか、紡ぐことが出来ない(だからこそ、それを転覆する力を欲する)ヘッドと、別の可能性を見せんとするタクトの対比が素晴らしかった。
だけど、それはただ単純にヘッドがダメでタクトが良いという話ではなく。やっぱり、そこはコルムナのように、ヘッドのように決してならなかったスガタがいたから、なんですよね。カタシロ・リョウスケとツナシ・トキオのように、どうしようもなくなる前に、拳を交えて、お互いの気持ちをぶつけ合う相手がいたから。
#スガタだって、力に興味がなかったわけではない。でも、それがすべてではなかった。
「もし僕に命のオーラの輝きがあるなら、それは船を動かすためのものではなく、彼女の笑顔を見るためのもの。たとえナイフを持っていたとしても、それは彼女を守るためのものです」(マルク/ツナシ・タクト)
だから、サリナ部長の問いかけに答えたこの言葉は、決してタクトだけのものではなかったはず。ワコの誕生日の日、決してスガタが自分からは贈れなかったプレゼントを、タクトが届けたように。輝いていたナツオから受け継いだタクトの「輝き」と、ずっと誤解され続けても隠し持ち続けていたスガタの「ナイフ」。
この二つが揃って、初めて少女の「笑顔」を「守る」ことが出来る!
それまで悲劇に終わっていた二つの、二人ぼっちの物語。『イカ刺しサム』は少女やサムだけでなく不死の王も救われず、『神話前夜』も実はコルムナを救済することが出来ていない。これは結局、コルムナたちの時代に、マルク少年がいればあるいは……? と形にはなっているものの、悲劇に終わっている。
第七話(だったかな?)で、サリナ部長は、タクトがこの島に来るまでワコとスガタが幸せになる未来を想像できなかったと言っていた。そして、ゲーム版の補完でも、三人目の登場によって、この「神話前夜」がどうなるのかを見ていた(この時点では、救いようのない悲劇だったと思われる)。
そんな二つの悲劇を受け、コルムナとクレイス、そして、マルクが揃った現代の物語がどうなるのか? やっぱり三人の物語の着地は、第2クールOPラストが良いなぁ、などと思ったりします。
→PSP用ゲームソフト『STAR DRIVER 輝きのタクト 銀河美少年伝説』の感想/プレイ日記はこちらからどうぞ。
→Blu-ray&DVD第3巻から再度追っかけます!
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コメント
かもめさん、こんばんは。
いやはや、とんでもなく情報が圧縮された「神話前夜」でしたね(汗)。
サリナ部長と副部長の正体は大体見当がついていましたが「副部長がおっさん声で
なくて良かった」。これに尽きます(笑)。
スガタとヘッドの心情にグサグサ突き刺さる内容でしたが、挙句ヘッドを「ダメ親父」
と断じたサリナ部長、恐ろしい人です(汗)。
ケイトは命を削ってスガタを救っていたのでしょうか。
王の柱のリスクがケイトに掛かることを知ったスガタが『エンペラー』の座に就く、
という形で綺羅星に入り込み、ザメクによって一刻も早く事態の収拾を図ろうとする
かも知れませんね。
ワコの為に命を捨てられるのがスガタなら、ケイトはスガタの為に、あるいはスガタと
心中するつもりでいるのでしょうか。親友を亡くした過去のあるタクトが知ったなら、
そんな行為は全力で止めに入るでしょうが。
ケイトは綺羅星ではないのかも知れませんが、そうであっても
ヘッドは見抜いていそうです。
ところでタクトが「ワコ」呼びするようになったのは、4話でワコがそう望んだから
だったので、それがケイトの誘導によるものだとしたら、スガタは同情や負い目から
ケイトを選ぶべきではないと思っていたのですが、ここへ来てちょっと解らなく
なりました(汗)。
ただ、どういう形であれタクトが島を去る、という結末ならば今度はスガタが
輝かねばならず、その時はケイトを入れて、元の三人組に戻って欲しいと思います。
ケイトが島を出てアイドルになる可能性もありますが(笑)。
>れおぽんさん
>かもめさん、こんばんは。
どうも、かもめです。返信が大変遅くなって申し訳ありません。地震が起こった直後から、東京の実家に帰る知人の引っ越しの手伝いなどをして、ここ数日ばたばたしておりました。出来ることなら、いまはこちらに留まった方が良いんじゃないか、というようなことを言ってしまいましたが、やはりそれはエゴなんでしょうね。
>いやはや、とんでもなく情報が圧縮された「神話前夜」でしたね(汗)。
>サリナ部長と副部長の正体は大体見当がついていましたが「副部長がおっさん声でなくて良かった」。これに尽きます(笑)。
いやぁ、まったく。恐るべき情報量でしたね。これまで二十二話をかけて、いろんなシーンに秘めてきた想いをすべて解き放った演劇だったんじゃないかな、と思います。
僕は逆に、まったく普通に人間だと思っていたので、びっくりしました(笑)。えっ、あっ、そんな路線なの?と。猫<マオ>大好きなので、別におっさん声でも僕は良かったですよ。ヘッドに対する「ダメ親父」という評価が際だつので(笑)。
続きます
続きです。
>スガタとヘッドの心情にグサグサ突き刺さる内容でしたが、挙句ヘッドを「ダメ親父」と断じたサリナ部長、恐ろしい人です(汗)。
ヘッドには大層グサグサ来る内容だったと思われるんですが、意外とスガタには刺さってないんじゃないかと期待したりも。漫画版に、巫女を島から解放する「予言の子」はシンドウ家のものという設定がありますが、(スガタとタクトが本当に双子なら)やはり二人が存在していることにも意味があるのだとそんな展開を期待してみたり。タクトが少女の笑顔を見るために「輝き」(タクト)、少女を守るために「ナイフ」(スガタ)と宣言したのには、やっぱり意味を見出したい。スガタとタクトが似ているのならば、ヘッドとカタシロもやっぱり似ていて、三人組が仲良くできなかったのが敗因なら、今度こそは!と。
この人にはきっと第一フェーズの能力が効いてないんだろうな、と、割と真面目路線で考察してみました。
>ケイトは命を削ってスガタを救っていたのでしょうか。
>王の柱のリスクがケイトに掛かることを知ったスガタが『エンペラー』の座に就く、という形で綺羅星に入り込み、ザメクによって一刻も早く事態の収拾を図ろうとするかも知れませんね。
そうなってしまったら。それこそ、今回コルムナを通してサリナ部長に警告されていた通りの展開になってしまうような気が(汗)。ずっとゼロ時間内ではタクトたちの手助けが出来ないと歯がゆく思っていたスガタですが、日常ならば何か出来る可能性もあるんじゃないかと。そっちの方に行ってくれたら良いな、と思っていたりもします。
続きます
続きです。
>ワコの為に命を捨てられるのがスガタなら、ケイトはスガタの為に、あるいはスガタと心中するつもりでいるのでしょうか。親友を亡くした過去のあるタクトが知ったなら、そんな行為は全力で止めに入るでしょうが。
>ケイトは綺羅星ではないのかも知れませんが、そうであってもヘッドは見抜いていそうです。
そ、それは難しい問いですね。もし二人が心中することが、ナツオが輝いていたことと何か通じることがあるのならば、もしかしたら、タクトは止めたり出来ないかもしれないという見方もできるかも?
そろそろヘッドは本当に何がしたいんだ?(笑)と突っ込みたくなってくる感じですね。いろんなものを見抜いていたとしても(銀河美少年敗北も確かに“見えていた”はず)、結局何も達成できない。本当に大切なものは目に見えない、本当の強さは強大な力などではないと、作中是とされているものとは真逆に突き進んでいるヘッドが、本当にどうなるのか気になります。
>ところでタクトが「ワコ」呼びするようになったのは、4話でワコがそう望んだからだったので、それがケイトの誘導によるものだとしたら、スガタは同情や負い目からケイトを選ぶべきではないと思っていたのですが、ここへ来てちょっと解らなくなりました(汗)。
あの回は、ゼロ時間内にいたタクトの願望を投影していたのが表解釈なら、ワコが実は外に出たがっているのが裏解釈。だけど、そのもっと深い部分を読めば、あるいは……、ケイト自身も昔の三人組だったあの日に戻りたいという願望を持っていた、そんな解釈もありかも?と思ったり。
そろそろケイトが何を考えて綺羅星に入っているのかわかってくる頃だと思うので、前半の暗躍の裏側が見えてきそうですね。
さらに続きます。
らすとわん。
>ただ、どういう形であれタクトが島を去る、という結末ならば今度はスガタが
輝かねばならず、その時はケイトを入れて、元の三人組に戻って欲しいと思います。
>ケイトが島を出てアイドルになる可能性もありますが(笑)。
ケイトが島を出てアイドルって実はいちばんありそうなエンドだったりしますよね(笑)。歌って踊れちゃうわけですし。ワコがもし島に留まってその島にある幸福を見つけるという道を選ぶのなら、巫女の誰かは外に出て行って、そっちで幸せを見つけるのもありという描き方をするはずですし。意外とタクトが出て行くのではなく、ヘッドが出て行こうとして、港でサカナちゃんと再会。火山灰を見て「雪だ」(=冬の訪れを告げる)で終了とか、美しい気がしたりしてるんですが(笑)。