STAR DRIVER<スタードライバー>輝きのタクト 3 【完全生産限定版】 [Blu-ray]「いいの! これは雪なの」(サカナちゃん)

『STAR DRIVER 輝きのタクト』第二一話「リビドーなお年頃」のネタバレ感想です。


「俺だってそうだ。ただ強い力を手にするためだけに、色々なものを失ってきた」(ミヤビ・レイジ)

 前回カタシロ・リョウスケが、ヘッドはゼロ時間に囚われているというような趣旨のことを言っていたけれど、果たして本当にそうなのか? という点に切り込んできたエピソードだったような気が。

#この台詞のシーン、背景にはソラさんの絵が写されていて、暗にヘッドは彼女を失ったことに対して自覚的だという描写とも取れるんですね。

 感想にも書きましたが、前回は目に見えるところに真実はない。本当に大切なことは目に見えないんだというエピソードだったと思っているんですが、そーゆー意味ではカタシロが「真実」だと思っていたことはすべて間違っている可能性もあるのかもしれない。

#キャメルスターが第一フェーズでヘッドたちを覗いていたときの「読み」――ヘッドがサイバディ再生のリスクを怖れていることやマキバ・シンゴから印を譲り受けようとしている――も、多分「真実」ではないという描き方をしている。

 そして、イカ刺しサムの物語は、暗にソラさんのことを吹っ切れていないヘッドに対して、本当に欲しかったのはソラさんだったんでしょう、という糾弾の物語でもあったというのが、前回までの読みで。一見すると、サカナちゃんの指摘をものともせず、超古代文明の強大な力めがけて(それはつまり、ソラさんを永遠にしたいという願望のために)、未だに邁進し、ゼロ時間に囚われているヘッドという構図に見えなくもないんですが。

 さ、さすがに、ケイ・マドカさんが敗北した際に

「負けたときにその負けを認められないのが、いちばんダメでしょう」(ケイ・マドカ)

 と言わせているだけに、まさかまさかヘッドがそのいちばんダメなヤツとは思いたくないところ。い、いや、ヘッドの「銀河美少年は時期に敗れる」→「自分も銀河美少年。なので、自分が負ける」というダメさ加減を知った上で、信じたいところ。さ、さすがに、そこまでダメ人間じゃないよ、と(笑)。

 “いろんな”ものを失って、その“すべて”を取り戻したいとヘッドは語っていましたが、その失ったものの中に、トキオとリョウスケ、そしてソラ、「三人組」の関係も入っていたらなぁ、と。それこそ、カタシロが悔やんでいたように、ヘッドもまた、三人の関係が上手くできる方法はなかったのか? と今なお探し求めているのだとしたら、じわりと来る。

「だが、本当に強い力をこの手にすれば、失ったすべてを取り戻すことができる。いや、取り戻してみせる」(ミヤビ・レイジ)

 いつからだって、青春を謳歌し始めることが出来るのならば、一度失われてしまった青春を取り戻すことも出来るのかもしれない。

 それこそヘッドを糾弾したサカナちゃんの最後の言葉が、「人生という名の冒険は続く」だったように。そして、本当の意味でワコとタクトの関係が“始まった”第四話のラストを彷彿させる言葉。

「俺たちふたりの世界を包み込んでくれるこれは、雪なんだ」(ミヤビ・レイジ/ツナシ・トキオ)

「この島には雪が降らない。だからこれは火山灰」という真実を覆い隠してでも、サカナちゃんの雪だという嘘に付き合ったヘッド。それは自分の本当の気持ちに気づいてしまったワコの本音を、覆い隠してあげたタクトの優しさに通ずる。

 やっぱり親子なんだなぁ、と思ってしまった瞬間なんだけど、そうした「秘密」の共有、閉鎖空間での二人の会話が作中善として描かれているのは、間違いないので、何かヘッドにも「救い」が欲しいところ。

 まあ、何にせよ、目を覚ましているのかいないのか、もう一つわからないので、ここは一つサカナちゃんにはソラさんを連れてきてもらって、一発殴ってもらわないことには始まらない。その上で、サカナちゃんが抱きしめてあげればいいんじゃないかなー。

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