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『STAR DRIVER 輝きのタクト』第二一話「リビドーなお年頃」のネタバレ感想です。
◇
「俺だってそうだ。ただ強い力を手にするためだけに、色々なものを失ってきた」(ミヤビ・レイジ)
前回カタシロ・リョウスケが、ヘッドはゼロ時間に囚われているというような趣旨のことを言っていたけれど、果たして本当にそうなのか? という点に切り込んできたエピソードだったような気が。
#この台詞のシーン、背景にはソラさんの絵が写されていて、暗にヘッドは彼女を失ったことに対して自覚的だという描写とも取れるんですね。
感想にも書きましたが、前回は目に見えるところに真実はない。本当に大切なことは目に見えないんだというエピソードだったと思っているんですが、そーゆー意味ではカタシロが「真実」だと思っていたことはすべて間違っている可能性もあるのかもしれない。
#キャメルスターが第一フェーズでヘッドたちを覗いていたときの「読み」――ヘッドがサイバディ再生のリスクを怖れていることやマキバ・シンゴから印を譲り受けようとしている――も、多分「真実」ではないという描き方をしている。
そして、イカ刺しサムの物語は、暗にソラさんのことを吹っ切れていないヘッドに対して、本当に欲しかったのはソラさんだったんでしょう、という糾弾の物語でもあったというのが、前回までの読みで。一見すると、サカナちゃんの指摘をものともせず、超古代文明の強大な力めがけて(それはつまり、ソラさんを永遠にしたいという願望のために)、未だに邁進し、ゼロ時間に囚われているヘッドという構図に見えなくもないんですが。
さ、さすがに、ケイ・マドカさんが敗北した際に
「負けたときにその負けを認められないのが、いちばんダメでしょう」(ケイ・マドカ)
と言わせているだけに、まさかまさかヘッドがそのいちばんダメなヤツとは思いたくないところ。い、いや、ヘッドの「銀河美少年は時期に敗れる」→「自分も銀河美少年。なので、自分が負ける」というダメさ加減を知った上で、信じたいところ。さ、さすがに、そこまでダメ人間じゃないよ、と(笑)。
“いろんな”ものを失って、その“すべて”を取り戻したいとヘッドは語っていましたが、その失ったものの中に、トキオとリョウスケ、そしてソラ、「三人組」の関係も入っていたらなぁ、と。それこそ、カタシロが悔やんでいたように、ヘッドもまた、三人の関係が上手くできる方法はなかったのか? と今なお探し求めているのだとしたら、じわりと来る。
「だが、本当に強い力をこの手にすれば、失ったすべてを取り戻すことができる。いや、取り戻してみせる」(ミヤビ・レイジ)
いつからだって、青春を謳歌し始めることが出来るのならば、一度失われてしまった青春を取り戻すことも出来るのかもしれない。
それこそヘッドを糾弾したサカナちゃんの最後の言葉が、「人生という名の冒険は続く」だったように。そして、本当の意味でワコとタクトの関係が“始まった”第四話のラストを彷彿させる言葉。
「俺たちふたりの世界を包み込んでくれるこれは、雪なんだ」(ミヤビ・レイジ/ツナシ・トキオ)
「この島には雪が降らない。だからこれは火山灰」という真実を覆い隠してでも、サカナちゃんの雪だという嘘に付き合ったヘッド。それは自分の本当の気持ちに気づいてしまったワコの本音を、覆い隠してあげたタクトの優しさに通ずる。
やっぱり親子なんだなぁ、と思ってしまった瞬間なんだけど、そうした「秘密」の共有、閉鎖空間での二人の会話が作中善として描かれているのは、間違いないので、何かヘッドにも「救い」が欲しいところ。
まあ、何にせよ、目を覚ましているのかいないのか、もう一つわからないので、ここは一つサカナちゃんにはソラさんを連れてきてもらって、一発殴ってもらわないことには始まらない。その上で、サカナちゃんが抱きしめてあげればいいんじゃないかなー。
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→前回第20話「描かれたあの日の虹」の感想へ
→次回第22話「神話前夜」の感想へ
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コメント
こんばんは、かもめさん。
先日は就活中のお忙しい中、連投コメントにレス頂きまして恐縮です(汗)。
命の駆け引きに快楽を見出すマドカとコウは確かに変態ですが、彼女達には古代文明に対する
野心はなかったようですね。あまりの引き際の潔さに拍子抜けもしましたが、スタドラ世界の
女子の、なんと男らしく雄々しいことか(笑)。
トキオとソラの密室での秘め事は、カタシロに知られていた時点で破綻していた訳ですが、
自分を悲観するだけで、トキオを一発殴って彼女を奪い返すことすらしなかったカタシロにも
同情できないのですが(苦笑)。
古代銀河文明は、ツナシ・トキオにとって喪ったものを取り戻すための錬金術なのでしょうか。
フェーズ無しで本物の恋人を獲得し、満願成就となったオカモト・ミドリに対し、あくまで
古代文明の魔法によって欲しいものを得ようと足掻くミヤビ・レイジは、ある意味対照的な
存在ですね。
そして真実を見失った彼に、紛いものなんかで欲望を満たすことなど出来ないと諭したのが
サカナちゃんで、偽りの勝利を得ようとすることの見苦しさを暗に批判したのがケイ・マドカ
ではないでしょうか。
さらに間違いに気付いた恋人が戻って来たなら、それを許せと説いたのがワタナベ・カナコで
あるのでしょう。
やはりヘッドを筆頭に、全体的に男子が女々しいですね。
タカシはこれ以降、シモーヌの尻に敷かれると断言します(笑)。
「神話前夜」は「イカ刺しサムの物語」につながっていそうですね。もしかしたら、
サイバディが地球に降り立った伝説の核心にも迫るかもしれませんので、楽しみです。
>れおぽんさん
>こんばんは、かもめさん。
>先日は就活中のお忙しい中、連投コメントにレス頂きまして恐縮です(汗)。
どうも、かもめです。いえいえ、毎回丁寧に書いてくださる、れおぽんさんのコメントは、いつも楽しみにしてます。当ブログのコメント履歴を調べると、ほぼ僕とれおぽんさんの熱いコメントの応酬ですからね。割って入ってくる猛者がいたりしないですかね(笑)。スタドラの展開に倣って、三人で議論し合うのも面白いな、と思ったりしています。まあ、僕らはとくに行き詰まっていないので、必要ないですが(笑)。
>命の駆け引きに快楽を見出すマドカとコウは確かに変態ですが、彼女達には古代文明に対する
>野心はなかったようですね。あまりの引き際の潔さに拍子抜けもしましたが、スタドラ世界の
>女子の、なんと男らしく雄々しいことか(笑)。
いつかの感想で書きましたが、まさしく「死者の踊り」だなぁ、と。ヘッドのように、現実(この“生”)を変えてやりたいという願望を彼女は持っていない。と言う以前に、彼女にとって演劇でタクトとキスすることとゼロ時間で彼を殺すことが特に矛盾しない。非日常と日常が完全に溶けあっている。
みんな超古代文明に何かを賭して、納得いかない現実を変えよう(青春を謳歌しよう)ともがいているにも関わらず(それが出来るのか、正しいかは別にしても)、マドカとコウはそんな気さえも起こさない。そんな彼女たちが、日常の自分を非日常のゼロ時間に完全に投影したときに、退場というのは納得感もありますね。正しくバッドエンド。できることなら、彼女たちも青春を謳歌できたら良かったのに、と思わないこともないです。この辺り、ゲーム版でフォローされるのかなぁ。
続きます。
続きます
>トキオとソラの密室での秘め事は、カタシロに知られていた時点で破綻していた訳ですが、
>自分を悲観するだけで、トキオを一発殴って彼女を奪い返すことすらしなかったカタシロにも
>同情できないのですが(苦笑)。
これ、僕もその通りだと思ったのですが、よくよく考えてみれば。今回のエピソードを踏まえると、カタシロさんは裏切ったソラさんを許した、「本当に強い人」だったという描き方でもあるんじゃないかなぁ、と。まあ、そんなことは置いといても、ヘッドはいろんな人に一発殴られなければいけない人ではありますがw
>古代銀河文明は、ツナシ・トキオにとって喪ったものを取り戻すための錬金術なのでしょうか。
>フェーズ無しで本物の恋人を獲得し、満願成就となったオカモト・ミドリに対し、あくまで
>古代文明の魔法によって欲しいものを得ようと足掻くミヤビ・レイジは、ある意味対照的な存在ですね。
結局、本当に最後の最後まで、ヘッドが何を考えているのかわからないという描き方をしている気はします。ヘッドに似ている(対応している)スガタも、いま現在何を考えているのか、よくわからないわけですが、スガタは過去に人知れずワコを守り抜くという誓いを立てていた。だから、ヘッドも周りには言えない決断をしているんじゃないかなぁ、とは思ったりします。
という意味では、公式HPのあらすじから考えると、次回の「神話前夜」は、スガタ側の心境を掘り下げる物語になっているんじゃないかなぁ、と。
さらに続きます
らすとわん。
>そして真実を見失った彼に、紛いものなんかで欲望を満たすことなど出来ないと諭したのが
>サカナちゃんで、偽りの勝利を得ようとすることの見苦しさを暗に批判したのがケイ・マドカではないでしょうか。
>さらに間違いに気付いた恋人が戻って来たなら、それを許せと説いたのがワタナベ・カナコであるのでしょう。
ケイ・マドカの発言が、本当にヘッドを批判するものだとしたら、ヘッドさんダメすぎるw 多分スタドラの感想を書いているブロガーの中では、唯一と言えるほど、ヘッドはそこまで落ちぶれていないと主張している僕ですが、今後彼が巻き返せるのか否か、猛烈に気になります。ヘッドさん、頑張って。
>やはりヘッドを筆頭に、全体的に男子が女々しいですね。
>タカシはこれ以降、シモーヌの尻に敷かれると断言します(笑)。
実際のところ、前からタカシは、尻に敷かれるタイプなのではないかと思っておりました(笑)。こう、何ですか、上手に出ようとするんですが、結局思い通りにならないような、そんな不憫な男の子。
>「神話前夜」は「イカ刺しサムの物語」につながっていそうですね。もしかしたら、
>サイバディが地球に降り立った伝説の核心にも迫るかもしれませんので、楽しみです。
それだけ符合してしまったら、サリナ部長って結局何ものなんだという話になってきますねっ! 次回とゲーム版の方でサリナ分は補完されるということなので、ちと期待。
見間違え出なければ、恐竜っぽい姿がありましたよね。そうか、超古代って、そんな時代だったんだとびっくりしてますw
マドカとコウについて補足です。
自分の命の危険も省みず、歪んだ快楽を求めるだけのマドカの精神はとても生産的とは
言えず、刹那的=ゼロ時間であったのではないでしょうか。
彼女を挟んだコウとカナコの関係も、ある意味非生産的な三角関係であるような(汗)。
少なくともマドカには彼女の無謀を気遣うコウがいますし(汗)、スタードライバーの
既得権を捨てて島を出て行った彼女達の止まっていた時間は、これから進んで行くの
かもしれませんね。
年下の恋人を得た(汗)オカモト・ミドリやミズノとマリノ、マドカとコウなど、今まで
問題解決したドライバー達は必ずパートナーを得ているようで、もしかしてそれが
「上がり」の条件になっているかもしれませんね。
最終話はカップルだらけになるのかも(笑)。
そしてケイトだけがずっと一人きりであったような気がします。タクトかスガタという
可能性もありますが、思い切って瑞々しい柑橘系の香り漂うホンダ・ジョージとか
どうだろう、と思うのですが(なんか遣り手婆みたい…)
度量の広い人妻さんが言うように、魔法を失い、ただのツナシ・トキオに戻ったヘッドを
サカナちゃんが受け入れ、カタシロとソラもお互い謝罪し許しあう結末、というのも
いいですね。
ところで複数の作家が競作した漫画版スタドラ特集に、「荒川弘」の名があるよう
なんですが(汗)。
4コマらしいですが、頭の中で勝手に「特盛登場、筋肉美少年!(声付き)」と変換されて
しまいました!(爆笑)……ちょっと読んでみたいかも。
>れおぽんさん
どうも、かもめです。返信が大変遅くなって申し訳ないです。
>マドカとコウについて補足です。
>自分の命の危険も省みず、歪んだ快楽を求めるだけのマドカの精神はとても生産的とは言えず、刹那的=ゼロ時間であったのではないでしょうか。
>彼女を挟んだコウとカナコの関係も、ある意味非生産的な三角関係であるような(汗)。
マドカたちにとっての、ゼロ時間は所謂「サザエさん時空」のような止まっているタイプのものだと思います(作中で是として描かれているのは、ゼロ時間を経てワコのメールの内容が変わったような、進んでいるんだけど凝縮されて、止まっているように「見える」時間)。れおぽんさんのいう「刹那的」という言葉は、僕の感覚では突き詰めていくとそちら側に行き着いちゃうものだと思っているので(余談ですが、いまプレイしている『Dies irae』というPCゲームは、そうした刹那主義の危険性を哲学的やら異能力的に切り取っていたりします(笑))
確かに、非生産的な三角関係ですね。溢れんばかりのリビドーしか出てこなそう!
>少なくともマドカには彼女の無謀を気遣うコウがいますし(汗)、スタードライバーの既得権を捨てて島を出て行った彼女達の止まっていた時間は、これから進んで行くのかもしれませんね。
マドカが遠くに行ってしまうような不安を抱いていたのがコウだったので、そういう意味では、戦う以前には彼女たちの時間も進み始めていたのかもしれませんね。それを決定的にしたのが、敗北と言うだけで。
願わくば、『銀河美少年伝説』に続編が出て、彼女たちがあの島で居場所を作っていくエピソードを見たかったりします(びっくりするぐらい、スタドラファンには嬉しいゲームでした(笑))。
続きます
続きです。
>年下の恋人を得た(汗)オカモト・ミドリやミズノとマリノ、マドカとコウなど、今まで問題解決したドライバー達は必ずパートナーを得ているようで、もしかしてそれが「上がり」の条件になっているかもしれませんね。
>最終話はカップルだらけになるのかも(笑)。
おおっ、なるほど。言われてみれば、そのような気も。ただタクトやワコ、スガタの関係については、実は決着つかないんじゃないかと最近は思い始めていたりもします。まさかの「人生という名の冒険は続く」(現状保留)エンドみたいな。まあ、三人の笑顔が見たいという願望になってきているのもありますが……
>そしてケイトだけがずっと一人きりであったような気がします。タクトかスガタという可能性もありますが、思い切って瑞々しい柑橘系の香り漂うホンダ・ジョージとかどうだろう、と思うのですが(なんか遣り手婆みたい…)
それは、まさか過ぎる展開w ケイトさん、なんとなく暑苦しいタイプ苦手そうですが(笑)。
>度量の広い人妻さんが言うように、魔法を失い、ただのツナシ・トキオに戻ったヘッドをサカナちゃんが受け入れ、カタシロとソラもお互い謝罪し許しあう結末、というのもいいですね。
人妻さんは、度量が広すぎますからねー。二、三十発殴られたら、ヘッドも許されてもいいと思います(作品テーマを否定するような展開w)。ソラさんやサカナちゃんが再登場するのかどうか、本当に気になります。巫女それぞれに四季が割り振られていて、いまの流れだと冬始まるぐらいで終わりそうなので、サカナちゃんの一言(火山灰を見て、雪だ、みたいな)で終わったりするのかなぁ、とか妄想してますが。
続きます。
らすとわん
>ところで複数の作家が競作した漫画版スタドラ特集に、「荒川弘」の名があるようなんですが(汗)。
>4コマらしいですが、頭の中で勝手に「特盛登場、筋肉美少年!(声付き)」と変換されてしまいました!(爆笑)……ちょっと読んでみたいかも。
ちょっ、荒川さん仕事しすぎだ(笑)。筋肉美少年はありえそうで、大爆笑してしまいました。期待してますよ、荒川さん!!