STAR DRIVER<スタードライバー> 輝きのタクト2 【完全生産限定版】 [Blu-ray]「お前だけが銀河美少年だと思うなよ」(ヘッド)

『STAR DRIVER 輝きのタクト』第十六話「タクトのシルシ」のネタバレ感想です。


◇人が輝く瞬間◇

「やりたいこととやるべきことが一致するとき、世界の声が聞こえる!」(ツナシ・タクト)

 ここでそう来るのかと、マジ感動。銀河美少年、輝きすぎ。

 もう完全にタクト敗北の流れだと思っていたんですが……、うん、確かに彼は「2週目」だもんな。これから訪れるであろう、「三人の物語」まで負けるわけにはいかない。

#過去回想で描かれたのも、タクトと少年少女「三人」の物語。憧れた少年が死んだことによって、行き詰まってしまっている。以前も書いたけれど、「イカ刺しサム」の物語と似ている。

 彼が何故ここまで強いのかというと、それは難しい。でも、もう言語化できるところまでに、ヒントを出ていると思うので、頑張ってみよう。

#長すぎますが、参考記事としては、こちら↓ といいますか、大体言いたいことはここに書いてます(笑)。

STAR DRIVER 輝きのタクト/感想/第13話「恋する紅い剣」/誰かの「ヒーロー」になるということ。

 まず大前提として、彼は別段「特別な人間」ではないということ。ヘッドのいうように、

「お前だけが銀河美少年だと思うなよ」(ヘッド)

「銀河美少年」なる存在は、確かにタクトだけではない。というのも、どうやら第三フェーズに突入したスタードライバーのことを、「銀河美少年」と呼称するようなのだ。

 という意味では、今回第三フェーズに突入したことで、はっきりとタクトの「特別性」は剥奪されたんですね。元々特別でもなんでもなかったのですが(バニシングエージのスタードライバーはそこに特別性を見出してましたが)、今回彼は間違いなく綺羅星十字団と対等な存在になった。

 そのはずなのだけど、何か違う。

 これは以前ミセス・ワタナベも言ってましたね。「彼(=タクト)の強さは、何かが違う」と。

 では、一体何なのだろうか? 

 それはもうシンプルに、やるべきこととやりたいことを一致させられる。ただその一点のみにおいて、彼は誰よりも強いのであろう。

 かつてそれは別の少年が持っていたものである。かの少年はあまりに小さく、その内に秘めたる輝きもまた小さい。だが、間違いなく、彼はやるべきこととやりたいことを一致させて、輝いていた。

 そんな少年に、タクトは淡い「憧れ」を抱いたのだ。自分にも、そんな輝く場所――やるべきこととやりたいことが一致するその瞬間――があるのではないかと。

「僕も、輝きたかったのかな……?」(ツナシ・タクト)

 そう、彼はただ普通に、誰かに憧れる「普通の少年」だった。だが、そんな彼だからこそ、どんなに小さな光でも輝いていると気づける彼だからこそ、誰よりも輝くことが出来るのだし、他の人をも輝かせることが出来るのだろう。

#例えば、シモーヌが一番輝いているのはカナコの話をしているときなのですが、それを気づかせてくれたのはタクト。

 逆に言えば、ヘッドのやるべきこととやりたいことは、今回一致していなかった(=ぶっちゃけ輝いていなかった)ということですね。上のリンクで、ベニオやカナコ、シモーヌが今後サイバディを再生させないであろう理由を語ってますが、バニシングエージのスタードライバー達は徹底して再戦する可能性を残しています。だって、彼ら自ら輝こうとするだけなんだもん。銀河が輝いているのは、何も自ら輝く星だけのせいじゃなかろうに。

「ああ、僕はその島に行ってみたい。一発殴んないと、収まらないぜ。でも、それだけじゃない。なんか僕はその島に行かなきゃいけないような気がすごくしてる。ううん、行きたいんだ」(ツナシ・タクト)

「銀河美少年か……。眩しいな、タクト」(じいちゃん)




◇消えない幻◇

「あんたの、うしろ」(ヨウ・マリノ)

 マリノさん。・゚・(ノД`)・゚・。

 前回の感想、一番大事なところは読み間違っているのでアレですが、後はある程度参考になると思いますので、よかったら一読してみてください(その際、「母親」のところは全部マリノ変換でお願いしますw)。今思えば、あんなアクロバティックな「読み」をしなくとも、素直に読めばそのままでしたね。

 いやあ、でも、本当に優しいエンディングだった。本当にもうなんだろう、ものすごく優しくて、泣けてくる。

 これって、おばさんは(おそらくは島の他の人も)、ミズノの嘘(=魔法)を信じてくれていたわけですよ。でも、ミズノは今回信じ切れずにいた。だから、多分ずっとマリノは消えていたのだと思います。

 他の人はミズノの魔法を信じない。信じていたのは、この姉妹だけというのが、このお話が始まったときで。それをタクトも信じた(島のみんなも、実は信じてくれていた)。そして、最後に改めてミズノに問うている。

 本当に、あなたは魔法を信じますか?と。

 それは、つまり、過去の自分を肯定できるのかどうかということ。父親に捨てられたタクトは、この南十字島に行って殴らないと気がすまないという前向きな覚悟を示すことが出来た。だけど、ミズノは独りがあまりにも寂しくて、その自分自身の辛さに耐えきれず、それをマリノに押しつけていた。

 そう、それは出来ることなら、明かしたくない秘密。
 隠し通せるならば、その方が良い。それほど小さな嘘。

 だけど、その閉ざされた過去を認めないということは、それを託した存在すらも認めないということで。そう、だから、ちょっとだけでいい。何も、おおっぴらに秘密を開く必要もないのだ。ただその嘘に向かい合って、ちょっぴり認めるだけで良かった。

 だから、彼女はちゃんと向かい合う。

 憧れは憧れのまま、

「昔からまっすぐで格好良かったんだね」(ヨウ・ミズノ)

 嘘は嘘のまま、

「お母さんに会って、ちゃんとお別れしないと、もうマリノに会えない気がしたんだ」(ヨウ・マリノ)

 そう信じて。そう、それがきっと、二人が輝く、その瞬間なのだから。

「ホント、あんた私がいないと、ダメダメなんだから」(ヨウ・マリノ)

「なんだよ、それ」(ヨウ・ミズノ)


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