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『STAR DRIVER 輝きのタクト』第十五話「封印の巫女」のネタバレ感想です。ミズノが本当にほしかったのは、姉ではなく、「母親」だったんだろうな。
◇巣立ちの時◇
「巣立ちしたんだ、もう大人になったんだよ」(ツナシ・タクト)
かあすけのことを全然頭に入れてなかったので、この展開には驚くと共に、ああ、なるほど、この辺りが落としどころなんだ、と納得。今から、フライングでじわじわ来てる。マリノさん。・゚・(ノД`)・゚・。
ポイントは、かあすけの子だけでなく、かあすけ(母親)自身も去っていること。親子二人で、あの巣を出て行ったのだ。
それまでは確かに母かあすけやタクトによって、守られてきた彼(ないしは彼女)だけど、これからはきっと自分自身の翼によって飛び立つのだろう。
それはきっと、今はマリノに守られているミズノも同じだ。
今回ミズノとマリノの会話を見る限りでは、マリノさんは自分の存在の意味に気づいている。だからこそ、こんなにも強く、この言葉を口にするのだ。
「嘘を突き通せば、本当になる」
「かたみ わかちた やが だんせい」
「大丈夫。消えない幻は、現実」
だと。強く強く、それは祈りの祝詞。
アインゴットの眼を通して見た過去の風景には、自分の存在はない。あるいはミズノによって都合良く作られた存在なのかもしれないが、それでも大丈夫だと。わたしは決してあなたの前から消えたりしない。
そんな「誓い」の言葉。
なぜなら、それは、本当の意味でマリノの存在が消え失せるのは、ミズノによってその「嘘」が否定されたときだから。タクトがワコのことを好きだからといって、自分が彼のことを想っているという事実まで、破り捨てる必要はないんだ。
嘘は嘘だと、
魔法はただの空想に過ぎないと、
そう断じたとき、初めて紙切れはただの紙切れとなる。
◇本当の私◇
「この人が、子どもを本当に捨てたのかどうか。ちゃんと確認しないと、前に進めないんじゃない、私たち」(ヨウ・マリノ)
だから、彼女は、辛い「現実」に立ち向かえと、そう諭す。紙切れを紙切れにしないためにも。嘘だとしても、貫き通した嘘にはやはり意味があるんだと、そう、胸を張るために。
それは昔、ツナシ・タクトが塞ぎ込んでいた瞬間があったように。
「でも、その頃のタクト君がいるから、いまの元気なタクト君がいるんだよね」(アゲマキ・ワコ)
だけど、その時間は決して無駄ではなかった。今のタクトがあるのは昔のタクトがいたからだというなら、きっと今のミズノがいるのはマリノのおかげ。
#何かしらマリノがミズノの空想上の存在なら、過去の彼女に起因しているわけで、それは昔のタクトと重なる。
「本当は会ってみたいんでしょ?」(ヨウ・マリノ)
「ボクの本当の気持ちが、なんでマリノにわかるわけ!?」(ヨウ・ミズノ)
だから、ミズノの気持ちもわかってしまう。というよりも、彼女の気持ちを代弁してしまう。マリノの「守ってあげる」という言葉も、ミズノの「守ってほしい」という気持ちから来ているんですよね、きっと。
#そんなマリノが、タクトに「守られる」というのは面白い展開。
その自分を守ってほしいという気持ちがどこから来るかというと、自分を放って島から出ていった母親への「反発」――というか「否定」――からなんでしょうね。だから、(まだそうとは決まってませんが、おそらく)彼女が作りだした存在(マリノ)は、母親ではなく「お姉さん」だった。
でも、そうした存在を欲するからには、本当にそばにいてほしいのは「母親」なわけで。それがわかっているから、自分が消える結果になるかもしれないのに、母親と向き合うことをマリノは勧めるんだろうな。マリノさん。・゚・(ノД`)・゚・。
#ふと、気づいたんですが、タクトじいちゃん、ワコばあちゃんは出てくるのに、普通の親の存在が皆無ですよね。タクトの目的が父親探しの割には。
→発売間近!
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→前回第14話「アインゴットの眼」の感想へ
→次回第16話「タクトのシルシ」の感想へ
→『STAR DRIVER 輝きのタクト』の感想インデックスへ
コメント
お正月は如何お過ごしだったでしょうか。
冗談抜きで流星の双子並みに苛酷な展開になってきましたが、
まさか時間の反復を引き起こすとは(汗)。
幾度試しても、脱出手段を変えても本人だけに記憶が刻まれたまま
同じ時間に戻されてしまう演出は悪夢のようで、恐怖を増幅させますね。
もしかしてワコもそれを経験したのなら、全てを受け入れて巫女の勤めを
果たしている彼女は精神が強く、対してその覚悟がないミズノは、
印を解かれて普通の少女になったほうが幸せかも知れません。
母親とのことが誤解であるとか、島の外に本当の姉がいるということなら
彼女は救われることになりますが。
>タクトじいちゃん、ワコばあちゃんは出てくるのに、普通の親の存在が皆無ですよね。
保護者としての親が殆んど登場しないせいで、スタドラ世界の少年少女が
野放図な子供達に思えることがあります。
次回ミズノは綺羅星側に掠われ、封印を解かれる展開のようですが、
それはまるで祭壇に生贄を捧げる黒魔術の儀式のようで、彼らが
残酷な子供の集団のようにさえ感じられます。
命までは取られないと思いたいですが(汗)。
子供だったミズノは、自分を甘やかしていたマリノを失うことで成長して
いくだろうことが予想できますが、綺羅星のメンバーもまた、
印から解放されなければならないのかも知れませんね。
ところでゼロ時間の天空に、四つの円を組み込んだ魔法陣のような紋様が
浮かんでいますが、それが四方の巫女の存在を示しているらしいです。
それぞれに巫女の印が入っており、印を解かれた気多の巫女のものだけが
回転を止めているそうですが、巫女の生命活動が停止した場合も同様か、
空間自体が開かなくなるんじゃないでしょうかね。
>れおぽんさん
こんにちは、かもめです。
試験勉強に忙殺してまして、大変返信が遅くなり申し訳ないです。
>お正月は如何お過ごしだったでしょうか。
>冗談抜きで流星の双子並みに苛酷な展開になってきましたが、
>まさか時間の反復を引き起こすとは(汗)。
お正月はずっとバイトに入っていたかもめでございます。二ヶ月ほど休ませてもらうので、いまは良いように扱われてます(笑)。
同じ時間が繰り返し繰り返し描かれるというのは、今まで言っていたような「閉塞感」を視聴者にダイレクトに伝える良い方法だと感じましたね。囚われていることは、やっぱり「否」だとそう突きつけられているわけですが、そこはマリノの存在共々あとあと肯定的に描かれそうな部分です。
>もしかしてワコもそれを経験したのなら、全てを受け入れて巫女の勤めを
>果たしている彼女は精神が強く、対してその覚悟がないミズノは、
>印を解かれて普通の少女になったほうが幸せかも知れません。
ある意味で、今まで普通に自由な生活を送ってきたからこそ、島の外に出られない(=この島に囚われている)現状に気づいた時の衝撃は、計り知れないものがあるのかなぁ、と思います。その点、ワコは早い段階で自分の境遇に気づいたので、それに向かい合うための時間を持つ(つまりは、この島で一生を過ごすべく、自分の心を整理する時間は持てた)ことができたのかなぁ、と。
続きます。
らすとわん、です。
>それぞれに巫女の印が入っており、印を解かれた気多の巫女のものだけが
>回転を止めているそうですが、巫女の生命活動が停止した場合も同様か、
>空間自体が開かなくなるんじゃないでしょうかね。
ああ、なるほど。ゼロ時間で、まだ三つの円が回っている以上は、残りの三人はまだ生きていると。あるいは、死んでしまったら、自然と解放されるのかもしれないですね。
>母親とのことが誤解であるとか、島の外に本当の姉がいるということなら
>彼女は救われることになりますが。
おそらくは、「母と向かい合おうよ」と、マリノが言った言葉は、実際にはミズノが信じていること、もっと詳しく言えば、「信じたい」ことだと思うんですが、どうなるでしょうねー。
僕はどちらかというと、ミズノを救うことよりも、マリノをどう救うのか?という部分に興味を持っています。おそらくは、過去のタクトと重ねて描かれるのだと思いますが(作中での扱い的に)。
>次回ミズノは綺羅星側に掠われ、封印を解かれる展開のようですが、
>それはまるで祭壇に生贄を捧げる黒魔術の儀式のようで、彼らが
>残酷な子供の集団のようにさえ感じられます。
綺羅星の存在をどう捉えるかは、難しいのですが、あるいはこうも考えられるかもしれません。サカナちゃんが解放されたときにもそうでしたが、何かリスクがあるという風には描かれていませんでした。
ある意味彼女たち巫女が囚われているのは、サイバディを現実世界で悪用されないためとはいえ、「不当」なんですよね。何故こんなわけわからないものに、我々は縛られながら生きているのかと。そういう意味では、現在を反映しているのかな、と思っていたりします。
れおぽんさんが挙げるような、黒魔術呪術のようなもの(作中ワードでは「神話」)に対する信仰が薄れてきて、そうしたものに縛られず生きていこうよ、と考えているのが、綺羅星なのでは?と。ある意味で(逆説的ではありますが)、一番シルシから解放されたいのは、彼らのような気もします。
さらに続きます。