最近のオーズの話です。感想というほどのものでもなく、雑感。オーズの話をしたいのか、経済の話をしたいのか謎ですね。


 いやはや、昨日から2クール目に突入した『仮面ライダーOOO【オーズ】』ですが、これがまた非常に面白いです。バースの登場というテコ入れが入ったという以上に、前回前々回のエピソードが効いていて、いよいよ「2週目」に入ってきたんだなぁ、と。そんな感じ。

 元々前回(第16話かな?)は、文字通り「ターニングポイント」と言えるような回で、いろんな変化があったんですよね。

 具体的にいうと、「欲望が加速していった」という表現がわかりやすいかなぁ、と思うんですが、実は1クール目のコアメダルの争奪戦は、比較的ポジティブなニュアンスとして描かれていたものなんですよね、きっと。

 というのも、グリードたちは自分たちの存在(いわば、「アイデンティティ」)を取り戻すために、自分たちのコアを探していたのが、これまでのエピソード。だからこそ、コアの「交換」というのが可能だったんですよね。お互いが自分を取り戻すというのが目的だったから、お互いが相手のコアメダルを持っているなら交換が出来た(この時は、ウヴァとカザリだったと思います)。そっちの方がお互いにとって「お得」だったからです。

#余談というか、補足ですが、オーズの物語の土台となっているのは、資本主義、経済だと思われるのですが、そこで商売が原理的に成立するのは「価値の交換」が起こる時といわれてます。売る方も買う方もお互いが「得をする」と思って、初めて「取引」というのは成立する。「価値」については、時代を経るにつれて、もの→カネ→情報(広義に「知」)と変化していっているし、今はもっと多様化していってると。

 だけど、前回グリードたちに起こったのは、自分のものではない「他人のコア」まで奪い取って、自分のものにしようという、そうした「変化」――すなわち、欲望の加速化、暴走――だったわけです。ちょっと前のサブプライム問題とかリーマンショックは、そうした利益を最大化していこうという目論見の果てにダメになったともいわれているので、この段階で非常に「やばい」感じを出してますね。

#第17話今回のヤミーが二つに分裂したのは、ストレートに欲望が加速していってることを表現していて、面白いなぁと。
#これまでは大なり小なり、ヤミーが生まれることで自分の欲望に向かい合いバランスを取ることが出来ていたんですが、それがどう変わっていくのか。

 それを予見するかのように、鴻上のオッサンと真木博士は巨大グリードに対して真逆のことをいうんですよね。一方は「失敗」と語り、他方は「成功」と語る。

 真木先生の方は終焉を求めているわけなので、どこかに富が集約することを求めるのはよくわかるんですが、鴻上のオッサンは「オーズにメダルを集中させる」とはいいつつも、何気にコアを出し惜しみしているんですよね(笑)。多分まだ隠し持っているとは思うんですが、要所要所でしか出してこない。

 けちんぼだ(笑)とそうした視点で見ることも出来ますが、そんな彼が前回言っていたのは、欲望は流れている状況の方が良いんだ(意訳)、というもの。

#『まおゆう魔王勇者』では、最初に魔王と勇者は、富を蓄積することでお金持ちには成れても、豊かには成れないんだという話をしています。

まおゆう魔王勇者 1「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」
まおゆう魔王勇者 1「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」

 これは僕の感覚では、その通りなんじゃないかな、と思います。不況というのは誰もがお金の方に価値を置いてしまって、商品やサービスを買わない。結果としてお金が減ったわけではないのに(まあ厳密には虚構のお金は消えてますが)、市場に流れるお金が減ったから、それが巡り巡って生活が苦しくなる。

 そうした変化の背景っていうのは、お金に価値を置くという人の「心の変化」なわけですが、もう一歩進むと「価値の固定化」みたいなことが言えるかなぁ、と思います。

#余談ですが、木坂健宣さんという方からずっと経済やら哲学やらを学んでいるんですが、この方は言葉の定義を非常に大切にされる人で、「○○主義」というのは○○が一番大事という意味なんだということを言っておられました。資本主義なら資本(お金)、マルクス主義ならマルクスの考え方。
あいばさんがこうした話を土台に、二年前だったかな、経済危機についての講座をしておられました。僕も受けておりましたが、非常に興味深い内容だったので、また販売再開したらご紹介しますね。興味のある方はどうぞ。

 商売が成立するのは「価値の交換」が為されるときといいましたが、これがもし自分が持っているものが何よりも価値があるんだ!とそう感じてしまっては、成り立ちませんよね。相手が出してくれるものの方が自分の持っているものよりも価値を感じる、お得に感じる、だからこそ、「交換」が成立する。

#好況の時は、不満があってもなんとなく成立しちゃいますが、不況の時は判断がシビアになるので、こうした原理的な部分が成立しているのか?というのが重要になってくるそうな。という意味では、不況も悪いばかりではない、と思ったりするんですよね。

 そうした意味では、カザリは何よりも自分のコアに価値を見出しているから、真木の要求(=貴方のコアも加えて実験したい)には応えない。一方で、コアを集めるということを何よりも優先していたアンクが、「一年分のアイス」で手を打つようなったというのは、非常に大きな「変化」だと思います。価値観が変わってきているんですよね。

 大事なものが増えていってる。

#映司とアンクの取引は、「再契約」という意味でも面白いんですが、まだ再契約というわけではないのかな? これまでは取引を持ちかけているのはいつも映司側なので、アンクが持ちかける時が初めて「再契約」――本当の意味での、対等な二人の契約――ということになりそう。

 とまあ、そんな話をつらつらと考えていたのですが。どこに行き着くわけでもなく(笑)。

 それではそんな中他人のコアの力を「借りて」戦っているオーズの存在というのは、一体どういうことになっていくのか? というのが今後の見所だったりなかったりするのかなぁ。

#あとはまあ伊達さんの戦い方っていうのは、セルメダルを消費することで大きなリターンを得るというものなので、そうした戦い方がどこに行き着くのかというのが楽しみですね。ものすっごく「雑」な戦い方(セルメダルの消費が激しい戦い)なのは、それよりももっと大きなリターンを得られればいいと考えているからかな、と思ったりしますが。



 何故こうした現実に立脚した物語を、小林靖子さんが書かれたのかは、インタビューなどを読んでいないのでわかりませんが、個人的にはこれからはこのような物語が来ると思ってます。

#『平成仮面ライダー』シリーズは、何かとサブカル批評の場で取り上げられることが多かったりします。

『仮面ライダーOOO』や『まおゆう魔王勇者』など、経済や現実の世界をうまく物語世界に落とし込んでいって、その複雑な現実に登場人物に立ち向かう姿を描いたものか。

 あるいは『けいおん!!』のように、そうした現実世界を映さず、理想的な日常を描いたものか。

けいおん!!(第2期) 7 (Blu-ray 初回限定生産) [Blu-ray]
けいおん!!(第2期) 7 (Blu-ray 初回限定生産) [Blu-ray]

 二極化とまでは言えなくても、大きく分かれ、二つの方向で進んでいくんじゃないかなぁ、と妄想していたりします(断っておきますが、僕のただの想像です)。

 前者は、経済や世界の動きと自分たちが無関係ではいられないというのが、もう肌感覚になるまで伝わってくる時代ですので、シンパシーを感じずにはいられないかなぁ、と。後者の方は、まあそんな難しいこと考えずに、唯みたいにただ自分らしく生きることが出来、かつそれによって自分や周りが幸せになれたら、それは本当に素晴らしいことだな、と思うんですね(最終的な目標は、むしろこっちだとも思う)。

 ダブルオーは僕からしたら、10年代を代表する物語だと言っても過言ではないと思っているんですが、あれは前者から後者へと「越境」していった物語かなぁ、と思ったりします。

劇場版 機動戦士ガンダムOO ―A wakening of the Trailblazer― COMPLETE EDITION【初回限定生産】 [Blu-ray]
劇場版 機動戦士ガンダムOO ―A wakening of the Trailblazer― COMPLETE EDITION【初回限定生産】 [Blu-ray]