STAR DRIVER<スタードライバー>輝きのタクト 1 【完全生産限定版】 [Blu-ray]「わたしが、いない?」(マンティコール)

『STAR DRIVER 輝きのタクト』第十四話「アインゴットの眼」のネタバレ感想です。


 新OPED良かったですね。特にOPが、個人的に非常に好みです。

 1クール目のオープニングは、タクトがただ一人南十字島を走り抜け(他のキャラはそれをただ見ている)、人知れずタウバーンに乗って、島の外へ飛んでいくというもので。それは、ここまでのタクトの物語(「余所者」としての彼)とも重ねて描かれてきたわけですが、今回はそれを受けて、タクト-ワコ-スガタ三人で星空を眺めるという。

 これが、何かすごくグッと来た。

 元々タウバーンの登場シーンなどに代表されるように、閉鎖空間閉塞感をぶち壊して、オープンにするというのが本筋にあって、だけど、それだけじゃない。時には秘密にすることも是なんだ、島から出ないでその島で新たな幸せを見つけるのもアリなんだ、というスタンスで描かれているのが、この『STAR DRIVER』なわけですが、その後者の部分を描いているのが今回のOP。そして、これからの展開なのかなぁ、と。

 後から触れますが、今回アインゴットの眼を通してみた世界にはマリノの存在がなく(何かこの謎を解明してしまうと悲劇が起きてしまいそうな)、そして、次回は島を出ようとするミズノに何かが起こるように(これは巫女の封印が原因でしょうが)。

 はたまた前回語られていた、「旅立ちの日」。彼らの差す「旅立ちの日」がいかなるものなのかは今の所分かりませんが、イカ刺しサムが旅立つためには、愛する少女を殺さなければならなかった。その旅の果てには、それが特別でもなんでもないことを悟ってしまった。

 もっと言うならば、第4話の感想にも書きましたが、あのエピソードではワコが気づいた本音に、タクトがそうっと蓋をしたんですよね。それは二人だけの秘密で、彼が綺羅星のサイバディをすべて破壊するという目標を掲げるきっかけにもなった。

 そうしたエピソードが積み重なっているので、オープンにすること(島の外に出ること)が必ずしも是ではないというのは、すっと入ってきますね。それを踏まえた上で、今回のOPを見ると、前回とは違って、三人で、島の中から星空を見ているというのが、グッと来る。

 星空が単純にきれいなだけじゃない。

#余談ですが、旅立つことを選ばなかったヘッドがラストでサカナちゃんと再会し、それが彼の「救い」になっているというのが、美しいなと一人妄想しておりました。が! OPでサカナちゃんがいるということは、もっとわかりやすい形で帰ってきてくれるのかな。



「秘密」(アゲマキ・ワコ)

 演劇でのキスシーンに一喜一憂しているワコとミズノですが、これは、うーん、難しいな。「繰り返し」の演出なのかな、と思わなくもないんですが。第1話の、

「人工呼吸は、ファーストキスに含まれる?」

 という問いを踏まえての展開かな? ワコからしてみれば、タクトとミズノが演劇ではあってもキスをするというのは、非常に複雑なわけですよ。

 これは単純に青春期にあるような、「「振り」で本当のことじゃないから気にならない、でも、やっぱり気になる」みたいな微妙でかつ可愛い心理だけではないんですね。

 演劇でのキスを本当のことじゃないと彼女が認めてしまったら、それはワコが人工呼吸の時にタクトとキスをしたのも、本当のことではない(あれはファーストキスではなく、人工呼吸)ということになってしまう。ゆえに、八方塞がり。

 でも、だからこそ、ワコは「キスしたことがある?」というマキの問いに、「ある」と答えても良かったんじゃないかなぁ、と思ったりもするんですよね。



「あの子は、ザメクの印を持つ者が生まれた年には、必ず島に四人の巫女が生まれるという理を知らない」(イブローニュ)

 巫女が死んでいる、という可能性を、ここで考慮しないということは、ザメクの印を持つ者が死なない限りは、この島で死にそうな状況になってもなぜか幸運にも生き残れるみたいな呪いが掛かっているということなのかな? そうでもないと、ただ「今存在しない」というマンティコールの言葉から、嘘だとは見抜けないでしょうしね。

#そう考えると、東の神社がありそうな場所が沈んでいることなんかも(関係者で生き残ってそうなのはニチ・ケイトだけっぽいのも)、説明がつきそうな気が。

 となると、マリノの姿が確認できないというのも、それ絡みなのかも? 日死の巫女であるミズノが死にそうな状況で、死んだのがマリノで。今の彼女は、ミズノの第1フェイズの産物とかなんとか。

#巫女のサイバディとかだったりして。

 一度感想でも「同じ存在」っぽいですよね、みたいなことを書いたりしていたんですが、それぐらい彼女たちは似ていた。だけど、タクトに彼女がいないという話を聞いて、二人が思い浮かべたものはあまりにかけ離れていて、二人はやっぱり「別の存在」――個々に生きているのだな――と思えただけに、この展開は衝撃。

 マリノは「ミズノを守る」というばかりで、自ら好いているタクトと向かい合おうとはしない。そうした意味でも、巫女を守るという立ち位置から、マリノはスガタのifでもあると思っているんですが、そこはやっぱりスガタ同様に何かしら救いがあることを望みたい。

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