STAR DRIVER<スタードライバー>輝きのタクト 1 【完全生産限定版】 [Blu-ray]「三人?」(ツナシ・タクト)

『STAR DRIVER 輝きのタクト』第八話「いつだって流星のように」のネタバレ感想です。タクトサイドとヘッドサイドのリンクっぷりがやばい。


「本当に不器用だな。島育ちの田舎者は!」(ツナシ・タクト)
「うるさいぞ、余所者!」(シンドウ・スガタ)


 前回は部長にお墨付きをもらい、今回はルリやワタナベからもちゃんと「三人」扱いを受けて、自分の居場所を確認したタクト。前々回の感想にも書きましたが、それまではやっぱり彼自身も自分を余所者と感じていて、

「僕が本気で人と向かい合ってないって? じゃあ、お前はどれぐらい本気なんだ?」(シンドウ・スガタ)

 という、スガタの指摘も確かだった。というか、だからこそ、スガタとワコの「本気」の絆を見せつけられて、自分の居場所なんてないんじゃないか、と不安に思ってしまった。

 だけど、いまは違うと。

 前回サリナ部長に問われた、「君はどうしたいんだ?」という問いの答えをちゃんと持って、本気でスガタに向かい合おうとするタクトが、マジで格好イイ。スカーレット・キスに操られているから、豹変したのではなく、ただ「素」の表情を見せたスガタが相手なだけに――いや、だからこそ――こちらも本気でぶつかるしかない。

 良くも悪くも、タクトという少年は、人の本音を表に出させてしまうんですよね。ワコ然り、スガタ然り。それが彼なりの第一フェイズの力なのかどうかはわからないんですが。ただ前回スガタが目を覚ましたのは、スカーレット・キスのキスの直後ではなく、タクトのパンチを受けた後だったというのは偶然ではないはず。

 そんな彼だからこそ、その「本音」にどう応えるのかというのが、重要で。ワコが本音(島から出たい)を吐露しようとしたときは、迷わず綺羅星十字団のサイバディをすべて破壊するという決意を示した。

 では、今回は?

 スガタとタクトは似ている。だからこそ、タクトは本気で人と向かい合えることを見せつける必要があったんですね。タクトが本気で人に向かい合うことができるなら、スガタもきっと向かい合うことができる。それはおそらく昔の「閉じていた」頃の自分(これが今のスガタね)を知っているからこそできた荒療治。

 その証拠に、答えないんですよね、スガタの問いには。

「僕が本気で人と向かい合ってないって? じゃあ、お前はどれぐらい本気なんだ?」(シンドウ・スガタ)

 それまでは確かにそういわれてもおかしくなかったけれど、今は違うから。

「それに、ツナシ・タクトとシンドウ・スガタは友達同士。この状況では戦えまい」(プロフェッサー・グリーン)
「勝ったな……、銀河美少年を倒すのは、この私だ!」(スカーレット・キス)


 綺羅星十字団の面々にも、今回は眼中になく、

「行くぞ! スガタ!!」(ツナシ・タクト)

 言葉ではなく、ただ拳を交えるのみ。三人の関係が既に手遅れのように、こっちの覚悟も既に決まっているのだから。何をするわけでもなく、人と向かい合いたいなら、歯を食いしばって向かい合うしかない。



「彼女たちは自由だった、最初からね」(ヘッド)

 ゼロ時間を舞台に余所者と田舎者が仲良く拳を交え、本当の意味で余所者がこの島の一員となろうとしていた、同じ時(厳密には違いますが(笑))、一人の少女が文字通り「余所者」になろうとしていたわけですね。

 元々ヘッドとサカナちゃんのストーリーはタクトたちと対応していて、ではヘッドは三人の誰に対応するんだろう? というのがすっごく興味を持っていたところではあるんですが、今回を見る限り、タクトとスガタ、二人の側面を背負っているのが彼なのかなぁ、と思ってみたり。

 ワコとスガタの閉じた関係が、タクトの存在によって前進するかもしれない。そうした希望を持って描かれていたのが最近の展開なわけで、それならばどうしてヘッドの方がバッドエンドを迎えることになるのか?

 それは多分「二人」の物語だったから。

 イカ刺しサムと少女の物語が誰かを犠牲にしなければ、銀河へ飛び出せなかったように、ワコとスガタがたった二人でその重い運命を背負って立ち往生していたように。二人だけの物語はすぐに行き詰まってしまう。

 だからこそ、やっぱりサカナちゃんの再登場に期待したい(何気に、僕は彼女が一番好きだったりするんですね(笑))。それこそ、強力な助っ人(三人目)を引き連れて、囚われのヘッドを助けてもらいたいんですね。

 島の外に出る、すなわち秘密なり本音をオープンにすることが必ずしも是ではないというのは、もう何度となく描かれていることで。サカナちゃんの物語の終わりが島の外へ出て行くところで終わるとは思えない。

「人生という冒険は続く」(サカナちゃん)

→エンディング曲、12月1日発売

Cross Over(アニメ盤)
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