STAR DRIVER<スタードライバー>輝きのタクト 1 【完全生産限定版】 [Blu-ray]「あなたもガラス越しアリな人?」(ワタナベ・カナコ)

『STAR DRIVER 輝きのタクト』第二話「綺羅星十字団の挑戦」のネタバレ感想です。人妻女子高生、飛ばしてくるなぁ。綺羅星!(ご挨拶)


 昨日発売の『NewType』11月号を読む限りでは、 前回の感想で書いたような「二重性」をテーマに見ていけば、イイっぽいです。ちょっとシリーズ構成の榎戸洋司さんの言葉を引用しますね。

「学園モノとロボットモノを分離させないように考えることが最初の課題でした。そこでひとつの舞台でキャラクターに多重性をもたせることにしたんです。(中略)それぞれの名前がキーワードですね。名前が変わったときは別の立場を演じています。実は単なる二重性だけじゃなくて、3つ以上の名前をもっているキャラもいるんですよ」

 で、そんな中一つの人格で戦っていくのが、ツナシ・タクトだと。

 これはかなり面白いアプローチですね。複数の名前を持っていて、アイデンティティものというと、『コードギアス』なんかがぱっと浮かんできます(第一話を見たときに真っ先に連想したのも、これでした)。『コードギアス』に関してはあいばさんのブログが詳しいですが、あれは複数の名前を持っている登場人物たちが、最後にそれらすべてが自分のものだと同定するまでを描いた物語でした。

 ルルーシュなら主人公特権として三つも名前を持っていて(他のキャラは大体二つです)、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア、ゼロ、ルルーシュ・ランペルージの三つの名前、どれを否定するわけでもなく、それらすべてを持っているのが自分だと。そうした答えを選ぶまでの、ルルーシュの苦しんだ姿が五十話かけて描かれた。

 それが、いろんな人格を取っ替え引っ替えしながら生きて行かざるを得ない、現代人の心をクリティカルに貫いたからこそ、あれほどメガヒットしたんだと思うんですが、スタドラはコードギアスとは違うと。いや、他の登場人物はそうした二重性を抱えながらも生きているけれど、タクトだけは違う。

 おそらく彼はそうした悩みを通り越した人(『コードギアス』の結末に到達している人)なんですよね。ツナシ・タクトのままで「銀河美少年」でいられる、そういう希有な人物(他の登場人物は人格が変わっちゃうんですよ。委員長がドSマッドサイエンティストみたいな)。南十字島に来た時点で、すでに「おじいちゃん」に聞いていて、覚悟が完了している男。なので、彼が何かに悩んだり葛藤するっていうのは、あまり主眼に置いてないんだろうなぁ。カナコの「ガラス越しのキス」(明らかに仮面などの二重性の暗喩)に、あっさりと「なしです」と答えられるのも、その辺りが理由かなぁ、と。

 逆に、カナコに、

「シンドウ・スガタくん、彼はガラス越しアリな人かな?」(ワタナベ・カナコ)

 と疑問を投げかけられる辺り、そういう役回りで描かれそうなのが、シンドウ・スガタの方なんだろうなぁ(榎戸洋司さんの言葉にある「三つ以上の名前を持つキャラ」)。声優のキャスティングもそうなんですが、福山潤さん(ルルーシュの声の人)がスガタの声を当てられているのは偶然ではないと思うんですね。もちろん、二重三重といういくつもの声色を操れる人っていうのもあると思いますが。

 そうした二重、三重の物語の中、すでに覚悟がし終わっている「銀河美少年」ことタクトに、ゼロ時間内でも「タクトくん」といつもの呼び方をするワコが、ものすごっく可愛いですね。だけど、そんな親密さと比して、ゼロ時間内での泡に包まれてタウバーンまで遠く描かれ、日常である教室でも彼の席は遠いというか正反対の場所に置かれている。

 人工呼吸という形ではあったけれど、「ガラス越し」ではないキスをした二人。だけど、それはやっぱり青春を懸けた「ファーストキス」ではないんだろうなぁ。という意味では、第一話ラストのように、触れあう二人が一つクライマックスとして描かれるんでしょうか。楽しみに続きを見たいと思います。

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