「人類の存亡をかけた対話のはじまりだ!」(刹那&ティエリア)

 公開初日に観てきた『劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-』のネタバレ感想です。完結篇にふさわしい、ミクロからマクロへの変遷、そして、それからさらに翻って、原点たるミクロへ帰結した物語でしたねっ! ダブルオー、僕にとってはやっぱりオールタイムベスト級のアニメでした。あと三回は見に行く!!!


 以下、見所ベスト10↓

第10位:アレルヤ×ハレルヤ×マリー

 エルスが狙っているのは、彼らと同じく脳量子波を使う者ということで、彼らの序盤の活躍がめざましかったなぁ。迫り来るトラックから逃げるアレルヤのシーンは、そこだけで別のアニメみたいになっていた。そうだよな、超兵なんだから肉体的にも常人とは違うんだよな。超人設定はあったものの今まで使えなかったので、最後だしやっちゃえ!みたいな感じ。もっと早くやっても良かった。ハレルヤ格好イイ。

「僕はもう、命を見捨てたりしない!」(アレルヤ)

 難破した宇宙船の中、他の命を見捨てて(奪って)まで生き残ったアレルヤ(ハレルヤ)。それがゆえに、1stシーズン第5話で真っ先に「生命賛歌」を貫いた彼が、最後に改めてそれを叫んだシーンは燃え燃え。この「生命賛歌」のテーマを言葉にできるのは、命を奪っていることに対してもっとも意識的だったアレルヤと、セルゲイさんと共に生命の大切さを掴んだソーマ(マリー)だからこそだよな。これもまたマクロを大事にしつつも、根底にあるのはミクロ。

 「無意識の悪意」さえも凌駕するのは、人の生きようとする本能か?/『機動戦士ガンダム00【ダブルオー】』/第25話「刹那」感想

第9位:刹那、フラッグで出撃。ロックオン、デュナメス搭乗

 ガンダムだから強いんだと散々言われていた刹那。面目躍如ということで、二世代前の機体、フラッグで登場だ!! と思ったら、煙幕張って、バリバリイノベイターの認識能力をフル活用していて、笑った(笑)。刹那、強いのか弱いのかどっちなんだ。

 アレルヤたちを救いに行くところで登場したのが、デュナメスというのに、これまたすげー燃えましたね。映画では、ほぼすべての登場人物が自分の原点を振り返る内容になっているので、ここで彼の原点として兄ニールの機体デュナメスが登場するのは当然なんだけど、目頭が熱くなったよ。

第8位:優しくしてください。

 ネーナ似の科学者ミーナ・カーマイン。何か一物あるキャラなのかと思ったら、これだよ(笑)。なんと、あのヘタレ(ビリーさん)ラブラブの女の子であった。

 全編を通して、ビリーのミーナを観る視線のエロさが際だった。宇宙へ上る際の、あの生々しい視線の動きは何だったのか。見せてくれているんだから、堂々と見なさいよと思うけれど、まあそれができたらスメラギさんに裏切られて逆恨みしないわなぁ。エルスとの決戦前の、

「優しくしてください」(ビリー・カタギリ)
「ラージャ」(ミーナ・カーマイン)


 が本編で一番笑ったシーン。ネーナがもし変わっていたら(変革できるのかがネガポジの境界)、こういう立ち位置だったのかなぁ。相手はビリーなら、幸せかどうかは難しいところだ。

第7位:アンドレイ・スミルノフ

 最後に「父親越え」を果たした彼に、合掌。多分、基本的にはセルゲイさんもまたネガティヴに描写されてはいるんですね。ミクロだけではなくマクロを見て、というのが本作の一貫した表現なんですが、かといってミクロをないがしろにしていいわけではない。そこが結局世界の平和を考えていたけれど、自分にとって最も身近なアンドレイを大切にすることができなかった、あるいは大切にしていてもそれを言葉にできなかったのがセルゲイさんだった。

 それに対して、本編ラストからずっと一貫して、アンドレイが言っているのが、父たちが守りたかった平和を僕が守る、という台詞なんですね。ここの描写がそのときからずっと好きで、自分の最も身近な部分が、マクロに向かう彼の動機になっているんですね。最初からミクロ重視だった(=母の復讐が目的だった)彼が、命を懸けて人類の平和(マクロ)を守ろうとする。その動機が最も身近な両親たちの願いであるというところに、マクロとミクロの両輪を立たせようとしている彼に、燃えた!!

第6位:ラファエルガンダムから、セラヴィーが出てきた!

 ここは素直に驚きました。つーか、思わず「嘘っ!?」とかつぶやいてしまって、一緒に見ていた人に申し訳ないです。

 ティエリアの機体のガジェットには、彼自身のテーマを内包していたりするんだけど、今回のこれは読めなかったな。何だったんだろう?

第5位:グラハム、散華

「生きるために戦え! と言ったのは君だろう?」(グラハム・エーカー)

 ガンダムに取り憑かれ、阿修羅(ミスター・ブシドー)となったグラハムが、最後の最後で本当に越えるべきだったのは「この少年だった」と憑きものが落ちたような表情で語るのがいいですね(それを言う相手がフェルトだった!というのも良い)。

 1stシーズンラストで「ガンダムという存在」に対して熱いラブコールを送っていた彼ですが、本当に強かったのは――彼が本当に魅了されていたのは――刹那だったという。劇場版は刹マリや刹フェルでありながらも、刹グラでもあったんだよ(なんだってー!)

 ゆえに、ガンダムのためよりも、人類のため――ひいては自分の愛した刹那のために――命を賭してエルス中枢への案内人を務める辺りがまた! これまたマクロのために戦っているようで、本当に大切にしていたのはミクロ。結局、彼が守ろうとしていたのは、自分が最後まで越えることができなかった男の「志」なんですよね!! 熱すぎる。

「これは死ではない。人類が生きるための――」(グラハム・エーカー)

第4位:それぞれの戦い

 エルスに脳細胞を蝕まれ、昏睡状態を続ける彼が見た、世界。いつもの幻想のような気もするけれど、刹那が本当に見た風景だったんだろうなぁ。それぐらい彼の意識は拡大されている(世界を包み込んでしまっている)。

 そんな中、それぞれが戦う戦場。

 世界のことから無関心でいた少年は、世界と、そして自分にとって最も大切な彼女を守るために。
 
 両親の復讐を図った少女は、世界と、自分にとって最も大切な少年の無事を祈って。

 そして、言葉と花しか持たぬ女は、ただただ少女の不安を取り除く。

 それぞれの戦場を見た彼が、最後に掴むのは花。これは「他者の幸せ」の象徴とかだったりするのかと思っているんだけど、その花がフェルトと重なるのが素敵だった(刹那が生きているというのが、彼女に取っての幸せ)。最終的には、刹那とマリナで落ち着くとしても(二人にとってはお互いが原点だから、ここは仕方がない。刹マリエンド!)、彼が最初に掴んだ「幸せ」はフェルトなんだよなー。ずっと拒み続けてた花を、最初に受け取ったのも彼女からだし、そういう意味では刹那が「幸せ」になるきっかけを与えたのはフェルト。

第3位:鈍感な刹那と心を読むデカルト

 マリナにもフェルトにも素っ気ない刹那を指して、鈍感鈍感言われているギャグ描写っぽいところでしたが、これって多分すごく重要なシーン。デカルトとの対比ですね。

 デカルトがマネキン大佐の心を読めたということは、刹那もまたマリナやフェルトの心を読んでいるはず。つまり、彼は彼女たちの好意に気づいているんですよ、きっと。

 だけど、それに応えようとしない。
 何故か。

 一つには彼自身が自分の幸せを拒んでいるというのもあると思うけれど、やっぱり直接は言われていない(勝手に思考が読めてしまっている)というのがあるんじゃないかな、と。というのを、エピローグで「あなたも正しかった」と言ってあげるマリナさんの描写を見て感じました。

 やっぱり最後には言葉が強しという描写なんだけど、考えてみれば、これ結構一貫してますね。(2ndシーズンラストの)届かなくとも伝え続けるマリナと(ニールのことも刹那のことも)「ずっと想っている」と誓うフェルト。どちらも同じぐらい二人を想っている。

第2位:フェルト、可愛い

 もう可愛すぎた。この一言でしか言い表せない。

第1位:宇宙(そら)に咲く、一輪の花

 これはもう高河ゆんさんの『in those days』必読。一輪の花は「あなたの幸せ」への道標。大地にある一輪の花(=マリナ)を守り続けると誓った彼が(これもまたミクロな動機)、今度は宇宙に花を咲かせるというアンサー。

 すれ違い続けてきた。

 本編ラストでもマリナからの手紙は届かず、『in those days』でも空と大地の花に喩えられ、どこまでも交わらない。分かり合えないと。だけど、2人の想いは本当に似通っていて、どこまでも一緒だった(この時にはすでにお互いを否定していない。というか、そもそもであった当初からやり方を否定していただけだった)。

 エルスもまた人間のことを理解しようとして、取り込んだ。それに対して恐怖を覚えた人類だけど、最後に咲かせたのは、一輪の花。

 あまりに違いすぎる二種が、あまりに似すぎた2人がようやく交わった瞬間。

 あなたの幸せを祈ってます

→劇場に行く前に、「空と大地のまじわるところ」だけは絶対読んでいってください!!

機動戦士ガンダム00 in those days (角川コミックス・エース 293-1)
機動戦士ガンダム00 in those days (角川コミックス・エース 293-1)

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