「あのお姉さんの乳が、いい感じ揺れていたからだ! そんな人を助けないなんて男じゃないだろう! 違うかい!?」(星村潤一郎)

 城平京原作『絶園のテンペスト』第十三話「時の娘」のネタバレ感想です。本作では変態いないなぁと思っていましたが(城平作品を読む以上大切な魅力でしょう)、いましたいました(笑)。


「……そうだ その骨が時間の檻を破る鍵だ!」(鎖部左門)

 声が時間を超えているわけだから、肉体だって超えられるという強引なアプローチが面白い。シャーロック・ホームズの言葉に、

「完全にありえないことを取り除けば、残ったものは、いかにありそうにないことでも、事実に間違いないということです」

 というのがあるけれど、少なからずミステリーはそういう側面を持っている。この言葉を言い換えると、どんなにありえそうになくとも、論理の筋が通っているのなら、それは真実。なので、声が実際に超えちゃっている以上、肉体が超えるのもアリ。葉風の死体が見つかった時、骨だけが綺麗に残っていたのは、これ(骨を残して肉だけ時間跳躍)が理由だったんだろうなー。

 そして、この論理構造を使うのであれば、何故「絶園の樹」が蘇ろうとする時、人は金属化するのか? 彼らの肉はどこに行っているのか? 「黒鉄病」についても、一本筋が通るのだろうなぁ。で、また覆される(笑)



「お前の妹が死んだのは 姫様が島に放置された後であろう」(鎖部左門)

 そんな吉野たちが優勢になったところで、まだまだ諦めていない左門はやはり強敵。いや、完全に負け惜しみ感はあるんだが(「真実」を話せば云々のくだりとか)。まあ、左門さんはもうすごい勢いで萌えキャラになっているので仕方ない(笑)。

 真広が葉風の味方となるために愛花は殺されたのでは?という、一度捨てられた問題が浮上。こういう、論理の転覆が面白いんだが、これではおそらく逆転しきれないんじゃないかな。

 「愛花の彼氏は誰なのか?」という切り札もまだ残っているわけだし、何よりもこの物語をシェイクスピアの『テンペスト』のような、最後は悲劇ではない形にしたかったのは、愛花なのだ。という意味では、そろそろ愛花の彼氏バレが来るんじゃないかなぁ。

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絶園のテンペスト 2 (ガンガンコミックス)
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→ちなみに、今回のタイトルの元ネタはこれかな↓

時の娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫 51-1)
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