喰霊-零- Blu-ray Disk BOX (初回限定生産)「あるわよ、とっておきのが」(神宮寺菖蒲)

BS11で再放送されている『喰霊-零-』ディレクターズ版第五話「頑想(かたくなのおもい)」のネタバレ感想です。今回の結論。神楽は昔から小悪魔。


「結局は、家柄と力か……」(諌山奈落)

 と独りごちる父親を尻目に、当人たちは順調に「それ」だけではない関係を築いていっております。この辺りは引き続き、絆と柵(しがらみ)は表裏一体、結局は同じものだということが描かれているのですが、今回はそんな真面目な話をするのは野暮というものでしょうね。例えはじまりが「家」同士のお付き合いとはいえ、そこにほんものの「愛」は宿りうると。

 そんなわけで、今回はひたすらコミカルで幕間的なエピソード。本格的にノリちゃん(飯綱紀之)との婚約が決まって、浮き足立っている黄泉さんが本当に可愛らしい。最後の着物姿も良いですよね。娘の幸せを普通に祝ってあげることができないと奈落は嘆いていましたが、十分に果たせていると思いますよ。ここ何気に、「家」ではなく「血」に固執している幽、冥親娘との対比になっている部分ですね。こういう作品だと、「家」ではなく「血」に焦点を当てそうなものなのに(というか、同じものとして描きそうなものなのに)、何故そうしないんだろうなぁ。ずっと気になっていることなんですが、本当にどうしてだろう?

 原作の漫画の方(『喰霊』)で黄泉か?神楽か?と問われれば、断腸の思いで「神楽!」と答えるであろう僕ですが、こちらのアニメでは文句なしで「黄泉さん」一択だなぁ。



「やっぱり、俺たちはずっとこうなのかもしれないな」(飯綱紀之)
「おまえのことは、自分の目で見ていたいからさ」(伊綱紀之)

「神楽は私と似ている」という黄泉の言葉然り、上記のノリちゃんの台詞然り、原作の方を視野に入れた台詞がどんどん出てくるなぁ。当然と言えば当然なんですが、特に下の台詞は第11巻を思うとそれだけで涙腺がゆるむ。この仕込みが生きてくるのをリアルタイムに見られていたら、たまらなかっただろうなぁ。

 ノリちゃんと黄泉の関係をそのまま原作の剣ちゃんと神楽の関係と置き換えられるわけですが(序盤で紀之が「俺と同じようになってほしくない」みたいなことをいう)、かといってノリちゃんと黄泉の関係がバッドエンドのまま終わっていない。剣ちゃんと神楽の関係をifとして描いているだけに留まっていないというところが面白いところですね。あくまで表裏一体、陰と陽の関係というか、どちらかがある限りずっと続いている。

 そう考えると、アニメ『喰霊-零-』と原作『喰霊』との関係も似たようなものなのかなぁ、と思います。こっちはシリアスで、あっちはだいぶコミカルと真逆のテイストを持っているわけですが、根っこは同じものをずっと描いている。

 神楽と黄泉の戦いが何度も繰り返されているように、雅楽が何度も「強くなれ」という言葉を発するように、喰霊という物語は何度も同じ展開を繰り返すことで、徐々に前へと進んでいく。

「切っても切り離せない関係」とはよく言いますが、結局断ち切ったと思ってもなかなか離れてはくれない。絆と柵(しがらみ)は表裏一体。どこまでも続いていく。だったら、どうするのか?

 まさに、今回黄泉とノリちゃんがお互いに問うたように。

 行けるところまで続けていく、その「覚悟」するほかない。だから、きっとこの物語はその覚悟を問うものなんでしょうね。このキャッチコピーなんてそのものずばりなわけですし。

「愛するものを、愛を信じて殺せるか」

→いよいよ、原作が完結!

喰霊 (12)

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