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アニメ『デュラララ!!』第二十四話「則天去私」のネタバレ感想です。二期はやらないっぽいですね。帝人がダラーズとは何か?という問いにちゃんと答えを出してしまったので。
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かなり勘違いしていたんですが、原作読み返したら、あそこで三人が出会うのはオリジナル展開ではなかったです。でも、それぞれがちゃんと事情をわかった上での再会はやはり心地良い。個人的にこれからの展開がいまひとつ(四巻の群像劇はトップクラスの面白さなんだけど)だと思っているので、三巻分帝人達三人の物語として描いてくれたアニメ版はすげー好きです。
そうは言いつつも、最終話で一番決まってるなー、いいなぁと感じたのは正臣と沙樹の会話なんですけどね(笑)。一貫して誰もが秘密(≒普通でない何か)を持っていて、それが当たり前なのだ(それこそが日常だ)と描いてきたので、正臣のこの
「知ってたよ」(紀田正臣)
という台詞が、もうたまらなく好きです。ここ原作を読んでないとわかりにくいかもしれないんですが、正臣は沙樹が隠していたことにまったく気づいていなかったんですね、実は。それでも秘密にしていたことを気にしている彼女のことを思って、嘘をついた。というか、その秘密を肯定してあげたわけですね。そして、おそらくは沙樹もそのことに気づいている。
その上で改めてちゃんと告白する正臣とそれに応える沙樹。ホントお似合いの二人ですね。良いなぁ。そして、また同じようなやり取りを杏里と帝人でもやっちゃう辺りが憎いよなぁ!(ここはアニメオリジナルですよね?) どっちもお似合いすぎる。
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「いつも三人だった僕らの日常は変わってしまった。けど、街はいつもと変わらない」
「ひとつわかったことがある、ダラーズは街だ」(竜ヶ峰帝人)
結局ダラーズとは何だったのか……?
その答えが見つからなかったばかりに混迷を極めることになった原作を思えば、ここで帝人が悟ってしまうのはアリ。落書き帳のエピソード(帝人が「つながり」って書いたやつです)がいい感じで効いています。例えそばにいなくとも、街が続くように「つながり」も続いていくという。というか、アニメ版の帝人は街を単純に「場所」ではなく、「関係性」で捉えているんですね。
この部分を押さえていると、原作八巻のエピソードがいかに思い上がった行為なのかが見えてくる。以下ちょっとネタバレです。
ここから
杏里や正臣の「居場所」を作り出すために、ダラーズ内の不穏分子を排除していくという。ダラーズ=街と捉えるならば(ここは多分原作も同じ。さらにスケールの大きい話になっていくのだと思いますが)、数人の力で街そのものを変えようという傲慢な行為。そして、おそらくは最終的には第三巻のエピソードをバッドエンドで描いた形になるのでは?と思っています。「居場所」は失ったけれど(正臣からすれば、杏里と帝人のために空けた=ポジティブ描写)、「繋がり」は失わなかった第三巻とは真逆の、「居場所」(ダラーズというかブルースクウェアのトップ)は得たけれど、「つながり」は失うエピソードが描かれるのだろうな、と。そこに首を取り戻して同じく今までの「つながり」を失ってしまった(そういう伏線はすでにあるので)セルティの「つながり」再生劇と並行して、帝人がいかに「つながり」を取り戻していくのかという展開になるんじゃないかと妄想していたりします(笑)。一巻のリフレインですね。やっぱりファーストエピソードが帝人とセルティに焦点が当たっているのは偶然じゃないと思います。
ここまで。
何にせよ、原作もアニメも同じテーマ(ダラーズ=街すなわち「つながり」)を別の切り口で描いているのだと思います。が、同じテーマを短い話数で描くために追加エピソードを入れ、原作を引き立たせたアニメ版は心底面白かったです。
大森貴弘監督をはじめ、スタッフの皆様、半年間素晴らしいアニメをありがとうございました。またこれまで僕の感想を読んでくださった皆様もどうもありがとうございます。あまりに美しくまとまっているので多分二期はないだろうなと思いますが、また何かご縁がありましたら、お会いしましょう。原作の方の感想は書き続けるのでよろしくです。ではではー。
→続きは原作で。今後の伏線を張りつつも、非常に気持ちの良い群像劇です。臨也が非常に切ない思いをするのがいいよね(笑)。

デュラララ!!×4 (電撃文庫)
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