デュラララ!! 3 【完全生産限定版】 [DVD]「竜ヶ峰くんは、いい友達だから」(園原杏里)

『デュラララ!!』第十四話「物情騒然」のネタバレ感想です。招かれざる2人の恋の行方はいかに?


「君はこの人間社会において、招かれざる客。俗に“化け物”だといわれる存在だと認識しているのかね?」(岸谷森厳)

 第三者が登場することで、セルティ達のイチャイチャ加減がもうたまらんことになっておりますが、そこに水を差す親父。マジで大人げないです。だけど、何気にここの問答は今エピソードでは重要な部分だったりするよなぁ。
 森厳のいうとおり、確かにセルティはこの世界において招かれざる客で、そんな彼女が新羅のことを好きになって良いんだろうか?という問題提起は、今回メインで描かれる園原杏里さんにも通じるという。

 この現実の中に、自分の居場所を見つけられない少女、園原杏里――

 化け物として人間社会に溶け込めないセルティ、そして、現実に居場所を持たない杏里さん、そんな二人を同時並行で描いている辺りが上手い。そんな二人が、誰かを愛することができるのか?と。

 そういう意味では、セルティさんが杏里さんを置いて、だいぶん先に進んでいる感じ。

「それに、新羅は今のままの私が好きだと言ってくれている」(セルティ・ストゥルルソン)

 と、首なし=化け物であることを認めたうえで、ちゃんと好きだと言ってくれていると。自分が化け物であるとか関係ないと(新羅が化け物=首なしだから愛しているのか?っていうのは、多分かなり先で描かれるお話だと思う)。化け物であることを気にし、池袋に溶け込むことを怖れていたセルティがここまで言えるようになるとはなぁ。物語世界では二十年、こっちの視点からは十五話重ねてきたというだけはある。

 さらに、二人が素敵なのは『デュラララ!!』という作品の中で重要な意味を持っている「秘密」について、ある程度黙認しているところだよなぁ。新羅はセルティが首に執着がないと言っているのが嘘だと感づいているし、セルティは妖刀罪歌について新羅が知っていた理由を隠していると気づいている。だけど、それでも――二人に「秘密」があったとしても――二人は好き合っている。「秘密」だらけの二人は恋してる。



「けど、帝人がマジ惚れしているのは気づいているんだろ?」(紀田正臣)

 さらっと、正臣にバラされている帝人、切ない。しかも、知らない内に振られるという。そして、「竜ヶ峰くんはいい友達だから」と、直接言われたら、三日は凹みそうなことまでいわれている。三重コンボで沈む帝人。哀れすぎるなぁ。

 とまあネタにしているけれど、正臣視点からいえば、多分帝人をフォローしようとしているんですよね。意識にはのぼるけれど、言語化されていない感情を、杏里さんの中に浮き彫りにしようと。だけど、これは相手が悪すぎた。

 自分の話をされていても、彼女に取っては「他人事」なんですよ。壊滅的に「現実感」を持たない少女、それが園原杏里。だけど、だからこそ、本気で心底彼女に現実味を感じさせるようなことをすれば――それこそ帝人がちゃんとはっきりと彼女に告白し、彼女に「現実」を叩きつければ!――、上手くいくんじゃないかなぁ、と思うんですね。今回は結局正臣が他人事のように言っているだけなので。

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デュラララ!! 3 【完全生産限定版】 [DVD]
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デュラララ!! 4 【完全生産限定版】 [DVD]
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