DARKER THAN BLACK-流星の双子- (1)(Blu-ray Disc)「僕は、あなたが嫌いだ」(蘇芳・パヴリチェンコ)

『Darker Than Black−流星の双子(ジェミニ)−』第四話「方舟は湖水に揺蕩う…」のネタバレ感想です。えっマジでラブコメなの?


「それは契約者に、いや、女になればわかることさ」
「わたし、もう女だよ」
「はい?」(猫<マオ>&蘇芳・パヴリチェンコ)


 中身が四十過ぎのおっさんだと考えるとあれですが、モモンガと少女の組み合わせならアリだな

 どうしてもここの解釈に迷ってしまう所なんですが、やっぱり蘇芳はニカのことが好きだった――と捉えたいかなぁ。ターニャもエイプリルもそんなこと言ってましたし、ニカの死がきっかけで覚醒したわけですし。

 好きでも何でもないノリオの告白には心が動かないけれど、自分が(深層心理では)好きだったニカが告白している時はドキッとしてしまった、みたいな。

 その辺のまだ彼女自身が気づいてなかった気持ちに、猫<マオ>が感づいていて、あんなことを言ったとしたちょっとステキですね。この場合は、合理的に考えても、女性的に考えても同じ意味なんじゃないかと思うと、憎らしいほどステキです。

 そして、これは個人的な妄想も入っているんですが、僕がなぜそういう考えをしたいかというと、前期の千晶が救われるような気がするんですね。ドールでありながらもプログラムを越え、黒<ヘイ>を守った彼女。その彼女と蘇芳の状況を鑑みると、通じるところがあるんじゃないかなぁ、と思うんですが、どうでしょうか?



「男でも女でもない、あたしらはどうしろっていうのよねぇ」(レバノン)

 何度も書いてますが、合理性や人間性、人と契約者など、相反するテーマが止揚されて、黒<ヘイ>がその狭間の道を選んだのが第一期でした。その第一期で、あまり描かれていなかったのが、今回掘り起こされた、

 男と女

 という関係。なので、その狭間の者である、おかまバーのママさんは要チェックな存在なわけです。

 人と契約者の共存を黒<ヘイ>は願ったけれど、その結果その狭間で苦しむものも現れる。ノアの方舟にたとえて、男でも女でもない自分はどうすれば良いのか、と嘆いたレバノンさんのような。

 そういう意味では蘇芳もおんなじで。

 一人称が「僕」、契約者のような人間のような宙ぶらりんな状態であるなど、彼女自身はすでに狭間の者、中間者でもあるわけですよ。未咲も所属する三号機関からは、「紫苑・パヴリチェンコ」として追われている。そんな彼女が、同じ狭間の者に会って何が変わるのか。そして、肉体の「女」としての成長がどういう意味を持ってくるのか。

 前期ではどちらも選べないなら両方取れといわれ、黒<ヘイ>は第三の道を選択した。だけど、その夢はまだ叶っておらず、その狭間で苦しむものもいる。では、人と契約者が共に生きていくにはどうすれば? そのきっかけの一つに「恋心」があるかもしれないなぁ、と。

 人と契約者が共存しようとするなら、確かに一つ「恋」という可能性もあるんじゃないか、と思うわけです。それが為されれば、共存を越えて「和解」となりますよね。人と契約者が共生していく、そういう可能性。

 そう考えれば、ターニャとニカのエピソードは一つのバッドエンド(契約者と人の恋愛という)と捉えられるかも。光を描くためには、その反対の闇をちゃんと描かなきゃいけない。そういう雨部分なのかもしれないですね。オフィシャルファンブックなんかで岡村天斎監督は冗談めかして「第二期のテーマは恋」と言ってますが、割とマジなんじゃないかと思ってきましたよ(笑)。

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