サマーウォーズ オリジナル・サウンドトラック「身内でしでかした間違いは、一家でカタをつけるよ!」(陣内栄)

 今更ながら見てきましたが、超傑作だった。人と人との繋がり、文字通り「人間」を描きながらも、いちばん描きたかったのは自己の「責任」だったのかな、と。他者との繋がり云々言う前に、自分に対して落とし前つけろや、という感じ。


 OZという仮想空間、現実世界、二つを舞台に人と人との繋がりを描いた本作ですが、個人的には二回めちゃくちゃ盛り上がった場面がありました。

 一つ目は、中盤ラブマシーンによって、OZのシステムが奪われ、その結果日本全国のインフラ設備に異常が発生し、全国で大災害が起きそうになった所。そこで栄おばさんが家族を激励し、黒電話で各地の知り合いに連絡を取り、災害を未然に防いだのが熱かった。栄さんが指揮を執り、各々が自分の「責任」を果たしたシーンですよ。OZがなんだ、仮想世界が何だ、デジタルが何だ、黒電話なめんなよ、と言わんばかりの熱い展開。結局最後にものを言うのは、ありきたりで陳腐で恥ずかしい言葉だけど、これまで培ってきた「絆」だった。

 そして、ここで勘違いに気づきました。

 ここまでは、健二くんの家と陣内さんところの対比から家族がテーマなのかなぁ、と思っていたんですが、そこを越えて、人と人との繋がりに焦点が当たっているんだな、と。そして、それに自分に対する「責任」が必要で。

 そこでこのテーマに気づいたからこそ、ラストの花札バトルで、見知らぬ人が自分のアバターを持って駆けつけたところで目頭が熱くなった。ここ、自分の責任を棚に上げて、夏希に頼ったと言われるんですが、ここはやっぱり栄さんが夏希を健二に託したように、自分のアバターをナツキに「託した」と思いたいところ。ナツキが負けた時のリスクはちゃんと各々背負っているように感じました。

 というか、だからこそ、ラブマシーンを圧倒したんだろうな、と。
 ゲームとして遊んでいるだけのラブマシーンに対して、人間側は本気で挑んだ、そういうシーンですよね、あそこは。



 でも、
 これでも物語はまだ終わらない。

 あれだけ盛り上がるシーンを描いといて、まだ何を描くんだと思ったんですが、確かに健二の物語は終わっていなかった。厳密には健二はラブマシーンの暴動には関与していないんだけど(パスワードが実は解けてなかったから)、一家をその問題に巻き込んだのは紛れもなく彼。

 だからこそ、ラストシーンは彼がその落とし前をつける番だった。

 栄おばあちゃんから夏希さんを託されてはいたけれど、自分の責任も果たせていないうちに受け止めることができなかったわけですよ。そこに決着をつけたからこそ、最後の微笑ましいシーンが生きてくるわけで。ちまたではカズマくんがヒロインといわれる始末ですが(笑)、僕はちゃんと夏希さんがヒロインしていたなー、と思いますよ。ちゃんと自分のことに決着つけてから、他者との関係性を求めている。そういう二人だからこそ、お似合いだなぁ、と思ってしまったな。

→映画を見たあとに

サマーウォーズ 公式ガイドブック  SUMMER DAYS MEMORY
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