「ガンダムエクシア、刹那・F・セイエイ、未来を切り開く!」(刹那・F・セイエイ)

 第二十五話「再生」のネタバレ感想です。マクロ的には世界は変わらなかったかもしれないけれど、ミクロ的には人々は大いに変わった。そんなエンディング。思惑は数多あれど、人々が見上げる、その先は――未来。


 前回ダブルオーで「対話」という人々がわかり合う、刹那の奇跡を見せたけれど、現実は厳しく、刹那とリボンズは決して相容れず、わかり合うことはできなかった(お互い、決して対話しようとしなかった)。この結末を着けたのが、ダブルオーではなく、エクシアだったのは、だいぶ意味深ですねー。「対話」を具現化してきたダブルオーではなく、「戦う者」の象徴であるエクシアという感じなのかな。

 ダブルオーというタイトルが発表された当時から、その二つのゼロ(=00)は繋がって、無限大(=∞)になるんじゃないの、といわれてきたけれど、やはり本作はダブルオーだった

 前回のトランザムバースト時に、GN粒子がソレスタルビーイングを無限大の形で包んでいたのが印象的で、最近そのGN粒子の無限大を(二つの輪が交わっている点から)人々の関わりを示していたんですが、最終話である今回は一度もそれがなく、また「対話」というのもほぼ行われなかった。あくまでも二つの輪のまま、人々はわかり合えない。切ない



「そうさ、そうでなければ、僕が作られた意義がない。存在する意味も」(リボンズ・アルマーク)

 あー、そうか、リボンズはティエリアのifでもあるのか。
 イオリア計画により生み出されたその存在は、意義を求めた。イオリア計画を完遂するという意義を。だけれど、イオリアの本当の願いは、イノベイドたち自身にその存在意義(=役割)を打ち破ってほしかったんだろうなぁ。変革してほしかった。

 他者に与えられた役割から抜け出して、自分の意志で戦うことを選択できなかったリボンズが、なんとも切ないな。そういう意味では、自分の意志で人間であることを選択し、終いには自分がイノベイドであったことを嬉しいと思えたティエリアはだいぶ良い締めを迎えてますよね。



「刹那、この手紙をあなたが読むことがなくても、それでもあなたへの想いを綴らせてください。

 クルジスの少年兵として、戦いを強要され、戦場の中でしか生きることができなくなったあなた。

 平和を求める気持ちは、私もあなたも同じなのに、わかりあっているのに、どうして私とあなたの道は交わらないのでしょうか。

 あなたは武力を行使して、世界から争いをなくそうとしている。

 もしそれが実現できたとしても、あなたの幸せはどこにあるのでしょう?

 罪を背負い、傷ついて、それでも戦い続ける。

 そんなあなたの生き方が、どうしようもなく悲しく思えるのです。

 自分の中にある幸せを、他者と共有し、その輪を広げていくことが、本当の平和に繋がると、私は考えています。

 だから、どうかあなたもあなたの幸せを掴んでください。

 刹那、あなたに幸せが訪れることを、祈ってます」(マリナ・イスマイール)


 間違いなく、前期最終話の刹那の手紙に対する、文字通りアンサー(刹那の質問に対する答え)だけれど、刹那に届いてない(=対話が成立していない)。これはかなり切ないんだけど、それだけじゃない。

 広義にいえば、刹那は変われなかったわけですよ。「戦う者」から変革することはできなかった。何度となく自身が戦うことに迷いを見いだしていたけれど、結局武器を捨てることができなかった。というのも、彼の願いたる、紛争のない平和な世界が実現しなかったから。世界はマクロ的にはほとんど変わらなかった。だけれど、彼を取り巻く環境(人間模様)、ミクロな部分が大きく変わった。

 フェルトは「平和」の象徴たる花を刹那に送るし(刹那が本当に「平和」な世界を求めていることがわかってる)、マリナさんは彼の幸せを静かに祈っている。そういう他者、優しくしてくれる隣人がいることは、結構幸せなんじゃないかな、と僕は思うんですが。

 果たせなかった約束――子供たちの歌を聞きに行く――もあるけれど、それがまだ叶わなかったが故に、それが希望になっている。それが叶う、幸せな時が現れるのではないかと視聴者は想像するわけです。そういう意味では、劇場版では刹那がそういう幸せを獲得する(武器を手放す)話でなくても、いいなぁ、と思ってます。もちろんそういうお話でも嬉しいけれど。



 世界は変わらなかったけれど、そこに生きる人々が少しだけ変わった。ダブルオーは、そこに希望を見いだす物語だったかなあ、と思います。

 それぞれのエピローグの果てに、多くの者が空を見上げるのが何とも印象的だった。刹那の武力主義とマリナ様の平和主義は決して交わらなかったけれど、未来を見上げる二人の視線は、間違いなく同じ方向を向いている。他の人も同じで、来たるべく未来を見つめている。

「見上げる−見下ろす」という構図をかなり効果的に使ってきたダブルオーだけれど、この未来を見上げるシーンをラストに持ってくるためだったんだなぁ、としびれた。やはり、僕はダブルオーが大好きだ。



 水島精二監督や脚本の黒田洋介さんをはじめとするスタッフの皆様、一年半もの間、ありがとうございました。お疲れ様です。そして、一年半もの間、徒然と書いてきたこのブログの感想を読んでくださった読者の皆様、本当にありがとうございました。

 多分というか、間違いなく公開初日に映画館に突進すると思うので(笑)、劇場版公開の時にでもお会いしましょう。ではでは〜。

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