「うっ、苦っ!」(ランカ・リー)

 第11話「ミッシング・バースデー」の感想です。今回アルトは三つの贈り物からパイロットへの道を選んだわけですが、果たして……?


 フロンティア内の循環が乱れているのと同じように、登場人物たちのやり取りが乱れ始めてきたのが印象的。

 今回シェリル、ランカ、兄弟子と、三人の人からアルトは贈り物を送られるんだけど、どれを受け取るかでアルトに選択を促しているのが面白い。

 シェリル−ほんものの空−パイロット
 ランカ−ライブチケットとクッキー−?
 兄弟子−勘当解除−歌舞伎

 という、三通りですね。ランカの贈り物がどこにつながっているのか未だはっきりしないんですが、今回の流れから言うと、演技していないアルト(普通のアルトくん)ということになるのかな。

 で、第一クール終了間際で、アルトが受け取ったのはシェリルの贈り物。つまり、パイロットへの道を選択したわけです。こうなってくると、物語途中で選択する答えはひっくり返るのが常道ですから、最終的にアルトが選ぶのは別の道(つーか、ランカ)かな、と思ってしまうんですが、さてそれはどうなんだろうか、と僕は思うわけで。

 というのも、今回何度も挿入されている昔のシーンで、子供のアルトくんは確かに空を夢見ているわけです。つまり、兄弟子が言うような「親に反発して、パイロットを目指す青年」を演じているからこそ、思い描いている夢ではない。

 この夢は、空への衝動は、第五話でシェリルが言ったように、「そうせずにはいられなかった」からこそ、思い描いたもので。アルトは空を目指さずにはいられなかった。そして、これはもしかしたら母親との夢だったのかもしれない(回想シーンで母親らしき人がいる)。

 また、兄弟子が言っているように、アルトが演技を忘れられないのも事実なんじゃないかな、と思うわけで。これもまた演じずにはいられない、空への衝動にも似た本能的なものなんじゃないかな、と。そして、これは当然父親との夢ですよね。

 では、ランカの贈り物を受け取ったときに選ぶことになる道、現状クエスチョンマークになっているのはどんな道なのか? そして、それは一体誰との夢なのか?

 妄想大爆発ですが、父と母と来たら、やはりこれは「子供」しかないんじゃないか、と。アルトを中心とした、父、母、子のトライアングル。何気に、兄弟子とシェリルの贈り物は、アルトの将来に関係しているけれど、ランカの贈り物だけはアルトの将来と全然関係がないのも興味深い。

 以前に、冗談でランカはアルトの娘!(みたいなもん)と書いたけれど、意外とそんなだったりして(笑)。レオン三島がフォールド断層について、客観的時間と体感的時間のズレがあるみたいな話をしていたので、それを利用して時空間転移が出来るとか。そうなると、最新鋭機であるはずのVF-25よりも新しいVF-27にブレラ・スターンが乗っているのも説明が付きますね(ブレラが未来の人だから)。また、前回オズマがドクター・マオと因縁があると言っておりましたが、たとえば、ランカ・リーになる前がランカ・ノームとかだったら、全然問題ないわけで(もちろん、この際のノームは、マオ・ノームからではなくシェリル・ノームから来ているとか)。まあ、妄想ですが(苦笑)。

 とはいえ、アルトくんには是非是非どれか一つを選ぶんじゃなくて、すべて持って行ってほしいものです。人間なんて、そんな一つしかとれないほど、平面的なもんじゃないでしょ。

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