「俺たちが、ガンダムだ!」(刹那・F・セイエイ)

 第25話「刹那」の感想です。第一期最終話というだけあって、死んだと思われた「地上VS天上」の構図など第一期のエッセンスをこれでもか!これでもか!という感じで、詰め込んでいる印象を受けました。面白かったー。二期が待ち遠しくて仕方がない。


「俺は生きる! 他人の生き血を啜ってでもな」
「僕も生きる。僕はまだ世界の答えを聞いていない。この戦いの意味すら。それを知るまで、僕は死ねない!」(ハレルヤ&アレルヤ)


 ハレルヤと比べ、生きようとする意志が希薄だったアレルヤが、ついに「生きる!」宣言。だが、ソーマ・ピーリスがマリーなる存在だと判明し、宇宙の彼方へ……。生きようと思ったのに、すぐにその決意をくじかれるアレルヤは何とも不憫です(苦笑)。



「できません! 中佐がいなくなったら、私は一人になってしまう」(ソーマ・ピーリス)

 ここはマジで良かった。美麗なカットも相まって、テンション最高潮! これまで「超兵」という生き方に固執していたソーマ・ピーリスが、その生き方を放棄してでもセルゲイ中佐と一緒に生きたいと選択する場面。その直前、ハレルヤによって、ソーマの「超兵」としての在り方を否定されているんですが、その時の「動物的本能」っていうのが「実感」のラインにあると思われるので、ここで改めてソーマは「実感」側へ。第五話のセルゲイ中佐共々、「命」が大切だと気づいていて、本当に良かった。

 また刹那の「手紙」でも、「生きよう」とする存在として二人が描かれているので、ダブルオーが生命賛歌の物語だと思っている僕としては、間違いなく作中「是」の存在。だから、二人が第二期もちゃんと生き残ることを期待します。大丈夫だと思うけれど。



「見つけた。見つけたぞ、世界のゆがみを!」
「わかっている、ロックオン。俺は戦うことしかできない破壊者。だから、戦う! 争いを生むものを倒すために。このゆがみを破壊する!」
「武力による戦争根絶。それこそがソレスタルビーイング。ガンダムがそれを成す。俺と共に。そうだ、俺が! 俺たちが、ガンダムだ!」(刹那・F・セイエイ)


 自身が「破壊者」であり、ソレスタルビーイングが破壊者集団ということを理解した上で、それでも戦争を生む「ゆがんだ存在」を破壊しようとする刹那が、ひたすら熱かった。その「ゆがんだ存在」、すなわち、明確な「悪意」を持つ存在を破壊したとしても、世界はゆがみから解放されないというのが、何とも切ないけれど。

 ただソレスタルビーイング、ひいては刹那が、作中ずっと「破壊者」に過ぎなかったのかというと、やっぱり「待った」をかけなければならない。それはもちろん、何度となく掘り返しているけれど、第五話のお話。あの回のソレスタルビーイングだけは、明らかに異質。そして、おそらくは物語の終着地点。「無意識の悪意」さえも凌駕するのは、人の「生存本能」(生きようとする無意識)ということじゃないかな、と漠然と思ったり。



「逢いたかった、逢いたかったぞ! ガンダム!」(グラハム・エーカー)

 マジで空気読んでくれ!と言わんばかりのグラハム。地上人らしく、下方から見上げながらご登場だ! アレハンドロ・コーナーのアルヴァトーレを破壊したときも、見下ろす刹那、見上げるアレハンドロという演出が使われていて、改めてこれまで得た「天上−地上」の知識を総動員しなければいけないことに、気づきますが、今回はとりあえず、

「天上−地上」
「マクロ−ミクロ」

 の二点を押さえておけば大丈夫かな。

「だから、私は君を倒す。世界などどうでもいい。己の意志で!」
「貴様だって、世界の一部だろうに!」
「ならば、それは世界の声だ!」


 という二人のやり取りは、まさに「ミクロVSマクロ」の戦い。

 今回、かなりグラハムに失望したファンが多いと思うんだけど、ある意味、グラハムって刹那のifなんですよね。 

「ようやく理解した! 君の圧倒的性能に私は心奪われた! この気持ち、まさしく“愛”だ! だが、愛を超越すれば、それは憎しみとなる。行きすぎた信仰が内紛を誘発するように」
「それがわかっていながら、何故戦う!?」

「貴様はゆがんでいる!」
「そうしたのは君だ! ガンダムという存在だ!」(グラハム&刹那)


 と、「ガンダム」という存在に魅入られたもの同士、二人は似ているんですが、グラハムは「愛」を通り越して「憎しみ」を抱いてしまい、刹那は自律して「愛」しているままでいるという(笑)。この辺り、ガンダムが強大な力であるが故に、マイスターは自身を律せねばならない、みたいな話もやっていたので、妥当な感じ。またトランザムシステム終了後の、スペックダウンしたエクシアと互角にしか戦えないグラハムというのも、物語中盤エクシアの性能に頼りすぎていると指摘された刹那のように、GNフラッグの性能に頼りすぎているという感じですかね。

 とはいえ、

「違う! 貴様は自分のエゴを押し通しているだけだ。貴様の、そのゆがみ、この俺が断ち切る!」
「よく言った! ガンダム!」


 というやり取りがあるように、いちばん刹那たちソレスタルビーイングを理解している存在でもあるんですよね。でも、今はゆがんでいると。

 これを四年後の映像で、悪鬼のような仮面を被ることで表現しているのがうまかった。というか、絶対グラハムって日本好きっていう裏設定あるでしょ(笑)。

 そして、この仮面が割れるときが、鬼に憑かれたようなゆがんだグラハムさんから、我らが格好イイグラハムさんに戻るときかな?



「これで、やっと逝ける。あなたの元へ……、ロックオン」(ティエリア・アーデ)

 自分が生きようとする意志を持つものが生き残っている中(特攻してでも仇を取ろうとか、自分の命を投げ出しても別の命を守ろうとしたものは物語から去っている)、やっと死ねると安堵しているティエリアはやっぱりここで退場……かな? 四年後の映像で、ルイスといるのは明らかに別人だし。



マリナ・イスマイール

貴女がこれを読んでいるとき 俺はもうこの世に……

武力による戦争の根絶

ソレスタルビーイングが

戦うことしかできない俺に 戦う意味を教えてくれた

あの時のガンダムのように

俺は知りたかった

何故、世界はこうも歪んでいるのか?

その歪みはどこから来ているのか?

何故、人には無意識の悪意というものがあるのか?

何故、その悪意に気付こうとしないのか?

何故、人生すら狂わせる存在があるのか?

何故、人は支配し、支配されるのか?

何故、傷つけあうのか?

なのに何故……人はこうも生きようとするのか?

俺は求めていた

あなたに会えば答えてくれると考えた

俺と違う道で 同じものを求める貴女なら

人と人とが分かり合える道を

その答えを

俺は求め続けていたんだ

ガンダムとともに

ガンダムと……ともに


 この辺り、じーんと来るんですが、第八話でお話がしたい(対話がしたい)という理由で、刹那をつなぎ止めたのに、第一期の間にその刹那から、ある意味一方的な「言葉の羅列」にすぎない「手紙」が来るぐらいの進展しかなかったのが、大変不満で、やきもき(笑)。

 そうです、「手紙」って一方的で、それを返信できなければ、「対話」にはならないんです。そして、今回返信できていない。刹那は問うだけ問うて、マリナさんの応えを聞いていない。まだ二人は「対話」に至っていない。こんな状態で、刹那が死ねるか!という感じなので、ラストの緑色のGN粒子は刹那の駆るエクシアということで良いのかな。

 なんだかんだいって、第一期通じて、刹那は「天上人」のポジションにあったという感じなんですが、最後に地球に墜ちていくところで、今度こそその座から降りていった……ということで良いのかな?



「世界を変える機体……、ダブルオーガンダム」(王留美)

 ついに、「天使」の名を冠さない「ガンダム」が来ましたね。第二期でいきなり刹那が乗るとも思わないので、ダブルオーガンダムに乗るまでにまた一波乱あるのかな? いや、なんていうか、王留美(ワン・リューミン)がガンダムを強奪するんじゃないかと気が気でないんですが(笑)。

 何はともあれ、これで刹那は「エクシア」という「天使」の名ではなく、純粋に「ガンダム」と呼べそうなのでホッとしました。第二期では、「紛争を根絶するもの」という意味も変化するんじゃないかと思っていますが、さて――どうなるか。



 そんなわけで、第一期終了です。危惧していた軌道エレベーター崩壊がなかったので、これは間違いなく第二期に来ますよね。しかも、「破壊」パートで、その崩壊を描かないというのは、もしかしたらそれは「破壊」にはならないからだったりして?

 四年後の映像が流れているだけで、もうワクワクが止まりません。早く見てー。



 これまで、半年間感想を読んでくださった方、どうもありがとうございました。それと共に、「天上−地上」「マクロ−ミクロ」「俯瞰−実感」というエッセンスを想像していた放送前の自分を少しだけ褒めても良いでしょうか?(笑)

 何はともあれ、皆さん半年間お疲れ様!
 当ブログはこれからも、たとえ舞台が四年後になり、三十路前のヒロインになろうともマリナ・イスマイールを応援する所存であります。

 それでは、皆さん。セカンドシーズンが始まる半年後にまたお会いしましょう。ではー。

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