「宇宙で待ってて。すぐに追いつくから」(ルイス・ハレヴィ)

 第20話「変革の刃」の感想です。沙慈がいかにして、世界に関わっていくのかが見えてきた回だったかな。しかし、まあ、何だ、次々と小物化していくキャラクターの中、グラハム・エーカーの上昇株は止まりません。もう一生付いてく(笑)。


「何という性能だ。やはり、この機体、すごい! もはやガンダムなど恐るるに足らず」(セルゲイ・スミルノフ)
「機体が私の反応速度に付いてくる! これがガンダムの力!」(ソーマ・ピーリス)


 これはやばい。これほどわかりやすく、あとからしっぺ返しくらいますよ、とほのめかす優越感を久しぶりに見た(苦笑)。セルゲイ中佐なんかは、こういう機体に乗らないんじゃないかと思ったけれど、考えてみれば、ロシアの荒熊は武人というよりは軍人。であれば、任務の達成がすべて。さもありなん、という感じですね。

 赤いGN粒子は、短期間で作りあげた偽物だけに、人体に悪影響を与えるという話を冒頭にやっといて、この赤いGN粒子を吐き出すMSを使う人たちが肯定されるとは思えないので、当然何かあるんでしょうね。パッと思いつくので、リボンズに堕ちたヴェーダのトライアルシステムに操作を奪われて云々とか、赤いGN粒子が地球に害を為して云々とか。



「と、父さん……。さ、沙慈」(絹江・クロスロード)

 これは絹江さん、生きてるでしょ。というか、そう言ってよ絹江さん。・゚・(ノД`)・゚・。 とはいえ、この状況で誰が助けられるのかわからないんだけど、それはホラ、第二期の新キャラとか、外伝の人たちとかそんな所でいいじゃないですか。今回、絹江さんの得た「GNドライブ」や「クルジスの少年兵」という情報が、沙慈に伝わった時にどうなるのか楽しみです。

 ただ予告で何かを見下ろして驚いているような沙慈のカットは、ちょっと不安です。なまじっか、沙慈にこの情報が届きさえすればいいだけに。



「患部の幹細胞に異常が見つかったの。先生によると、ガンダムのビーム兵器には、細胞障害を起こすものが含まれているんじゃないか、って」(看護婦さん)

 何かと肯定的に描かれてきた緑色のGN粒子に対して、赤色のGN粒子は人体に悪影響を与えるものだというのがわかったんだけど、これは緑の方で無効化できるんじゃないかと想像するのは難しくない。ティエリアやトリニティ、そして、リボンズが人工生命っぽいのは自明のことなので、それならソレスタルビーイングには人体に対する発展した(それもGN粒子が関係する?)技術があるのでは?というのも、想像に難くない。

 だけど、重要なのは、その技術が今回失われたかもしれない、ということで。それはもちろん、アレハンドロ・コーナー(というか、リボンズ)側にヴェーダが堕ちてしまったから。

 となると、再度誰かがその技術を確立しなければいけないわけです。それが、沙慈なのでは?と思う次第。ルイスの左手を再生するために、バイオ系に転身するんじゃないかと前に書いたけれど、この世界では既に再生する技術はあるみたい。だけど、赤色のGN粒子の弊害で、今はそれができないと。ならば、沙慈のすることなんて、これしかないじゃないか!

 とまあ、妄想が過ぎるんですが、ここでふと、ことの発端に戻ってみると、なかなか面白い。沙慈がGN粒子の研究に着手する(かもしれない)のは、ネーナの、些細だが、決して許されない「悪意」(気まぐれ)のせい。そして、それはヴェーダの計画にも、そして、おそらくリボンズの計画にもなかったもので。それは、本当に誰も予測できないものであった、と。

 この時点で、既に人間の「不完全性」が色んな意味で、すべてをぶっ壊してしまうのが、示唆されているのかな、と思わなくもない。



「こんなにも、世界が変わっていく。その向こうには、何があるのかしら?」(王留美)

 人類の破滅が。

 この王留美(ワン・リューミン)の立ち位置がわからない。OPなんかを鑑みるに、見上げるかのようなカットがあるので、地上人側なんだと思うし、この破滅思考めいたものの根幹にあるのは、何かしら「実感」に基づくものであるのは、想像に難くない。だからこそ、この世界を変えてやりたい、壊してやりたい、と思っているんでしょう。だけど、それは何?



「断固辞退しよう。私はフラッグでガンダムを倒す。ハワード・メイスンの墓前にそう誓ったのだよ」
「男の誓いに、訂正はない」(グラハム・エーカー)


 なんで、この人はこんなにも格好イイのでしょう。誰もが、天上人の技術に狂喜し乱舞している中で、一人冷静に自身の誓いを鑑みる。まさに、武人。格好良すぎるぜ。

 真面目な話、今回疑似太陽炉搭載型MSを拒否したのは、グラハムはあくまで地上人のまま、天上を目指すキャラクターであるということで良いのかな。天上の技術があり、天上に行けるから天上を目指すのではなく、あくまでも天上に魅了され、そこに到達したいがためにそれを目指している、と。

 沙慈やルイス、グラハム、そして、マリナさんと、天上(宇宙)を見据えているキャラクター達が、そこに到達した時のカタルシスが今から本当に楽しみです。何気に、グラハムさんが宇宙でまだ戦っていないというのは、タメだったんだなぁ。



「世界を一つにまとめる。それがソレスタルビーイングの目的。戦いを戦いで否定し、平和を勝ち取る。これが、あなたの求める世界だというの、刹那?」(マリナ・イスマイール)

 久しぶりに麗しいお姿を見られて、僕感激(笑)。
 物語が始まった時には、本当に何もわかっていないような人だったのに、ここに来てようやく色んなことがわかってきた、みたい。そして、「対話」へと至るための「問い」を発し続ける辺りも、なかなかどうしてイイ感じです。前回は刹那が問うて、今回はマリナさんが問うた。しかし、答えは返ってこない。それに答えが返ってくる、すなわち「対話」が成立するのはいつ? 楽しみです。

→DVD(今夏から、Blu-ray Discでのリリースが決まっているので、あまり急ぐ必要はないかも)

機動戦士ガンダム00 3





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