
第15話「折れた翼」の感想です。死の危機に再び降り立ったガンダムに、再び「神」を見出す刹那。だけど……という感じで次回に引き。うーん、堪らないなぁこれは。ゾクゾクしたよ。
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タイトルの「折れた翼」が象徴するように、天に昇るための「翼」を折られたガンダムマイスター。今回刹那のみならず、ロックオンやアレルヤ、ティエリアさえも膝をついた(地上に堕ちていった)わけですが、OPから考えると、再び天上に昇り、天上人に舞い戻っていく……というよりは、地上人のまま、さらに高みから現れた天上人と相対するという感じになるんでしょうか。
前回の感想でも「ティエリアが地球を背に戦っている!」と取り上げたけれど、他のマイスターズも地球を背に戦っています(しかも、協力し合っている)。地球を背に戦っている刹那達と月を背に戦っているトリニティというのが、第二OPで掲示された新しい「地上VS天上」の構図(地球VS月)。多分、前回の「ガンダムは兵器」発言も効いてくると思うので、第二話の感想に書いたような、圧倒的武力による支配構造になっていくんじゃないかな、と思います。そんな中、地上に堕ちていったガンダム達が再び……とかになるんじゃないかと。となると、第五話で描かれたような、地上人、天上人関係なしに手を取り合って、協力するという展開は、まだ見られない(第一期の内は、地上VS天上という構図が決定的に崩れないまま保たれる)のかな、と。
しかし、ダブルオーって「月と地球間で描かれる最も狭い範囲のガンダム」とかスタッフさんがインタビューで答えていましたけれど、こんなに早く一番大きい構図使っちゃって良いんだろうか。早めにマクロな構図をやって、どんどん小さくしていくんだろうか。それはそれで良いなぁ。第一期の内に宇宙で大きな闘いをやっといてくれた方が、第二期のクライマックスに軌道エレベーターが崩れて、それを各陣営がカテゴリを無化して、防衛するという流れになりそうだし。ガンダムのテンプレートからいうと、最後は「宇宙」という感じなんでしょうが、個人的にはダブルオーは「地球」で締めてほしいなぁ、と思ったりします。というか、結構これまでのガンダムの流れを取り入れている感があるダブルオーですが、これって第二期でそれをぶっ壊すためじゃないかなぁ。ほら、水島監督は『鋼の錬金術師』でも、途中でがらっと原作と雰囲気を変えてるし(それまではかなり忠実にやってました)。そういえば、『シャーマン・キング』もそうだったかな。
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「死ぬ、死ぬのか……? この歪んだ世界の中で。何にもなれぬまま。失い続けたまま。朽ち果てるのか?」(刹那・F・セイエイ)
再び“死”の「実感」と相見え、思わず漏れてしまった刹那の本音が、また僕を刹那に入れ込ませてしまうなぁ。生きているのだから、死ななかったのだから、何者かになりたい、失ったものを取り戻したいという、割と誰でも共感できる願いを持ち続けている刹那に、入れ込んでしまうよ。世界を歪ませている「歪み」の在処を探そうとしたりというのも、割と共感。それを排除すればどうにかなるとは、もちろん思っていないけれど、そうだったらいいなぁ、とは思ってしまいます。そういうことってないですかね?
さて、あの新しく現れたガンダム(スローネ)については、上で触れたような感じでイイかなと、個人的には。刹那達のガンダムとは異なるコンセプトで作られたガンダムだという感じの理解で良いんじゃないかと。次回、そのコンセプトの違いをまざまざと見せつけられそうですし。
それによって、刹那の「ガンダム信仰」がどう変わっていくのかというのが、今後の見所ではないかと思います。
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「今度こそ、今度こそ、任務を完遂させる! 超兵として!」(ソーマ・ピーリス)
ふと思ったんだけど、アレルヤが一向に脳量子波の対策を打たないのは、ソーマを変えるのはアレルヤではなく同じ超兵である「ハレルヤ」だからなのかな。ハレルヤの殺したがり(アレルヤの殺人願望?)を昇華する感じで、ソーマの道も変わっていくみたいな。
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「いつまでも自分だけのものと思って!」(アラスカのジョシュア)
説明しよう。TV放送だけ見ていると誤解してしまいそうだけど、基本的にはフラッグもイナクトも出撃後の変形はできないのだ!(レトロな説明口調) だから、空中での変形は一応凄腕パイロットのバロメータの一つになっているみたい。並のパイロットは、出撃時に形態を選択していくんだよ、コーラサワーみたいに(笑)。そんな所から想像するに、フラッグとイナクトのパイロットを格付けすると、
サーシェス>グラハム>コーラサワー
という感じになるんじゃないかと。サーシェスは飛行形態→人型、人型→飛行形態へと変形できるけれど、グラハムはまだ飛行形態→人型しかできないようだし。コーラサワーは……、まあ推して知るべし。
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「抱きしめたいなぁ、ガンダム!」
「まさに、眠り姫だ」(グラハム・エーカー)
ただ変形できるだけじゃあダメなんだぜ!といわんばかりに、飛行形態で接近して、人型でハグするグラハム・スペシャル。これが、エースパイロットの実力というものです(笑)。
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あとは現状の立ち位置を示唆しているのか、王留美(ワン・リューミン)は見下ろしていた(天上人サイド)ということぐらいでしょうか。今回は戦闘メインだろうし、あんまり書くことないだろうなぁ、と思っていたら、割と色々触れたいものがありましたね。
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■今週のマリナ・イスマイールさん。
「まさか! あの時、あなたは……」(マリナ・イスマイール)
何か気づいたようですが、今回はマリナさんと思考をシンクロできずにいます。何に気がついたんだろう?
→DVD(今夏から、Blu-ray Discでのリリースが決まっているので、あまり急ぐ必要はないかも)

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→次回第16話「トリニティ」の感想へ
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