「十八年前、第四次太陽光紛争時に、これと同じ作戦が使われたわ。人革連の作戦指揮官は、“ロシアの荒熊”の異名を持つセルゲイ・スミルノフ!」(スメラギ・李・ノリエガ)

 第09話「大国の威信」の感想です。今回始まった戦闘は、まさにスメラギさんの「知識」とセルゲイ中佐の「経験」の闘い。やっぱり、基本的にこの二人は対比される関係にあるんだなぁ、と思った。となると、やはり彼女らの「知識」と「経験」が噛み合った作戦が見たくなる。物語後半に、期待してますよ。


 これまでの感想でも触れてきたような、死の実感が薄かったり(→第04話感想)、世界と自分との関係に無関心な(→第08話感想)ソレスタルビーイングクルーの、経験不足、つまりは、戦場の「実感」を持っていないことが露呈されたのが今回のエピソード。これまで俯瞰していられたから(戦場とは無関係でいられたから)、どうということはなかったけれど、いざ戦場に突っ込まれたら、彼ら(彼女ら)が何もできないというのは、これまでの展開を丁寧に追っていれば十分に想像できる所ですね。

 ホントに今回は、ソレスタルビーイングクルー、もうグダグダで困った(笑)。ダメダメ過ぎて、もうこれは確実に別働隊がいるな、と思った。こいつらはきっと、スケープゴートだよ。そんなグダグダ感の中、両親の命日ということで涙ぐんだりして、死の「実感」を持っているフェルトが、「死」に瀕していた状況を、

「生き残る! 全員、生き残るの」

 と、一気に「生」に翻したのが良かったですね。こうして、経験不足なプトレマイオスクルーは、徐々に「経験」を補っていき、逆に「知識」面でソレスタルビーイングに後れを取っている地上人(だけど、「経験」は豊富)が彼らの武装なんかを研究して、徐々に彼らに追いつこうとしていくのが面白い。お互い、追っかけたり追っかけられたりしてます(イタチごっこ?)。



 あとは、今回刹那が敵陣に突っ込まなかったのを不思議に思った人もいるかもしれないけれど、それは彼が、

「前に出れば、防御が薄くなる!」

 と、守りが甘ければ死んでしまうということを「実感」として知っているから。だから、今回のように「守るべきモノ」がある際には、ちゃんと守れる人間なんだよな、刹那は(こういう所も主人公っぽい)。そして、そういう人間であるはずの刹那が、これまでの戦闘で見せてきたのは敵陣真っ直中に突っ込むという戦闘スタイルで。これは、やっぱり現在の彼は「自分の命」を勘定に入れていないということの示唆なんでしょうね。



 そして、そして――、今回から始まった闘いの魅力はやはり、スメラギさんとセルゲイ中佐の戦術合戦。第三話の感想で書いたような、セルゲイ中佐がスメラギさんに一杯食わせる展開が見られて、良かった。こういう展開になってくると(ロックオンがフェルトに行ったこともあり)、スメラギさんとセルゲイ中佐が良い仲(えっと、もちろん、気兼ねせずに酒を飲める仲だよ(笑))になるんじゃないかなぁ、と思えてくる。やっぱりスメラギ×セルゲイだな。

 話を本筋に戻して、観点が対照的なスメラギさんとセルゲイ中佐ですが、今回描かれたのは(セルゲイ中佐はまだ明示されていないけれど)、それぞれの予報(戦術)の拠り所、根拠の違いなんでしょうね。スメラギさんは「十八年前、第四次太陽光紛争時に、これと同じ作戦が使われたわ」と言ってるように、情報――つまりは「知識」――がメインで、逆に十八年以上も前から戦場で戦い続け、生き続けているセルゲイ中佐はその「経験」が武器。そして、十八年前と言えば、スメラギさんは八歳ですよ。そりゃあ、敵うわけないわ(苦笑)。

 そういう観点を頭に入れてみると、スメラギさんは「もう間違わない」と決意したあと、膨大な戦術情報(知識)を頭に入れたんだろうなぁ、と想像できるし、その間実戦から離れてしまったというのも想像に難くない。死の「実感」というパラメータをあるいは持っているのかも知れないけれど、スメラギさんにはまだまだ決定的に「経験」が足りていない感じです。

 逆に、セルゲイ中佐は実戦経験ではソレスタルビーイングに勝っていても「知識」面で劣っているわけだから、次回予告で示唆されるまだ見ぬ「ガンダムの力」にどう対抗していくのか楽しみ。長年の「経験」で培った直感とかで、危機を打破してくれると面白い。次回は、セルゲイ中佐の采配に期待ですよ。



 この「知識−経験」のお話ですが、突然出てきたお話というわけではなく、これまで挙げてきた「天上−地上」の構図から地繋ぎでつながってるお話です。「天上−地上」の構図から、「俯瞰(不感)−実感」というお話が描かれ、そして、「知識−経験」に繋がっている。俯瞰して得られるのは「知識」と考えられるし、「実感」として得られるのは「経験」と考えられる。そして、もっといってしまえば、個々の違った「知識」と「経験」でもって、自分だけにしかできないことをやっていく(→第五話感想)というのが、本作(多分)。そういう意味では、まったく底が見えてこないティエリアも、彼にしかない「知識」と「経験」でもって、今のような行動をしているんでしょうね。

 そして、そういう観点から見た重要人物が、沙慈であり、絹江さんであり、マリナさんであり、そして、コーラサワー(笑)であると。(笑)なんて付けているけれど、コーラサワーの活躍が今から待ち遠しい。模擬戦で無敵というだけで、実戦経験が皆無な彼が徐々に経験を積んでいって、刹那達に一泡吹かせる……。というか、コーラサワーが負けているのが刹那とティエリアというのは実はタメで、いつか行われるであろう「刹那とティエリアの闘い」に、コーラサワーは茶々を入れるんじゃないだろうか(笑)。いずれにせよ、コーラサワーの活躍も楽しみ。

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DAYBREAK’S BELL



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機動戦士ガンダムOO ORIGINAL SOUND TRACK 1






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