「話してる間に人は死ぬ」(刹那・F・セイエイ)

 第08話「無条件降伏」の感想です↓ 刹那が主人公らしくなってきたなぁ……、としみじみ。これはもう、最終的には「刹那VSティエリア」としか思えないなぁ。


 これまでの感想でも拾ってきたように、刹那・F・セイエイと名乗る少年は、自ら戦地を駆け、死地を、仲間の死を乗り越えてきた(そして、今生きている)が故に、人が「死ぬ」という実感を、作中誰よりも持っている男として描かれています。そういう圧倒的なバックボーンの上で、現在ソレスタルビーイングとして能動的に「戦っている」(=自分にしかできないことをやっている)というのが、今回のお話。一方、マリナ・イスマイールさんは第六話「セブンソード」で町並みをただ見下ろしているのに象徴されるように、現状はまだ戦っていない人で、結局自分にしかできないこともやれていない。特にマリナさんは後述する「関係−無関係」のラインから言っても今回、テロが発生して郊外のホテルという「無関係」な場所に追いやられようとしているのに、自ら行動を起こそうともしていないわけで。現状、マリナさんは、(言葉だけの)完全なダメッ娘です(笑)。

 そういう圧倒的な立場の違いを、「天上−地上」という作品背景を元に端的に表現したのが、ラストシーン。見下ろすエクシア(刹那)、見上げるマリナさんなんだよなぁ(もちろん、「刹那=天上」、「マリナさん=地上」を表している)。そして、今はまだ全然刹那に敵わないマリナさんだけど、彼女が宇宙(=天上)に出られない身分であるというのが一つタメになっていて、いずれは天上へと昇っていくんだろうなぁ(それも刹那と一緒に)、というのは想像に難くないトコロ。しかし、刹那は勘違いで天上人になっているわけではないので、彼が堕ちていくのがちょっと想像できない感じではあります。どうなんだろ、マリナさんがどんどん追っかけていくことになるのかな(逆シンデレラストーリーだな(笑))。

 あと刹那に関して、一つだけ残っている疑問は、彼自身「死」も「生」も知っているはずなのに、彼の戦闘スタイルは、敵陣真っ直中に飛び込み、自分の命を度外視しているように思われることですね。



 そして、今回もう一つ触れておきたいのが、宇宙にいるラッセ・アイオン(プトレマイオスクルー)と、これまた宇宙にいるセルゲイ・スミルノフ中佐の間で印象的だった、世界に「関わっていく」ことと「関わっていかない」こと――つまりは、「関係−無関係」という括り。OP終了直後に、ラッセは「どっちみち、宇宙にいる俺達には何も出来ねえ。地上の奴に任せるさ」と言って、世界との関わりを自ら断っているのと対照的に、セルゲイ中佐は「何かあったら報告してくれ」と自分とは一見関係ないことなのに(事実、ソーマに「今回の件は、中佐が関わるようなことではないと思いますが?」と突っ込まれる)、それでも関わろうとする。そして、続いて登場するグラハム・エーカーもまた「ナンセンスだが、動かずにはいられない」と、どうしようもないがそれでも世界に関わろうとする。ちなみに、このグラハムと対照的なのが王留美(ワン・リューミン)で、彼女は待つことしかできない(それをじれったいと思っているのはグラハムと同じではある)。

 また沙慈が今回、「正直、今まで他人事のように思ってたよ」と、「無関係」だと思っていたのが全然「関係なくないんだって」と気づくのも、ひとえに「関係−無関係」のお話(そして、「実感」のお話)。上でも触れたマリナさんが無関係な場所に追いやられようとしていたところに、偶々刹那が現れて、かろうじてマリナさんが世界との関わりを守ることができたのも一つ「関係−無関係」で括れるんじゃないかと。あとは、クリスティナがエージェントと連絡が取れたら……と関わろうとするのを、断つティエリアも印象的ですね。

 そんなこんなで、一つ今回のお話は「関係−無関係」を背景に置いたお話であったなぁ、と思うのでした。そして、この違いが、後半に効いてくるだろうなぁ。



 そして、これまた「関係−無関係」という括りで見逃せないのが、ロックオン・ストラトスという男。彼の「目標を狙い撃つ」という台詞には、この「関係−無関係」性がバックに置かれているんですよ。目標というのはすなわち「関係があるもの」で、その目標を狙い撃つというのは、つまりそれ以外は撃たない、無関係なものは撃たないという、彼なりの決意の表れでしょう。それには、彼自身の過去――テロで(理由もなく)家族を失った――が根幹にある。故に、理由がないものは撃たない、関係がないものは撃たない、そして、必要以上に撃たない。

 そういう彼に、今後待っているだろう展開を想像すると、一つは関係があるものだけを撃ってきたつもりだったのに、前回のニュースで報道されたように関係がないものも巻き込んでしまっていたという事実。そして、その「関係−無関係」を判定しているのがロックオン自身ではなく、ソレスタルビーイングに依存していること。今回絹江さんが「ソレスタルビーイングには別の目的があるのでは?」と指摘したトコロで、ガンダムマイスター達が得ている情報は本当に正しいのか、と視聴者は疑問に思ってもいい感じです。
 例えば、今回命令のままにロックオンは(確認もせずに)容赦なく狙い撃ったけれど、彼らは本当に(無差別テロに)関係があるものだったのか、と。今後、命令のままに関係があるものを撃ってきたつもりだったのに、実はその目標は全然関係ないものだったという展開は、ありえそうな感じ。

 ところで、今回ロックオンがスメラギさんに理解を示したトコロ(「強がってんだよ」と言ったところ)で、ああ、と天を仰ぐことになった。やっぱり、そうなるか、と。

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→主題歌CD

DAYBREAK’S BELL



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機動戦士ガンダムOO ORIGINAL SOUND TRACK 1






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