▼有栖川有栖さんの新作『女王国の城』を読み終わりました。学生アリスシリーズらしく、青春の一ページあり、決死の脱出劇あり、本格推理あり、という豪華なストーリーに大満足。さすがに、ロジカルな面白さは前作『双頭の悪魔』には敵わないと思いますが、全体の面白さでそれをカバー。そして、何より、アリスとマリアの絡みが良いねっ! 江神さん×マリア派の人も多いでしょうが、僕は何と言ってもアリス×マリア。前作ではそれがほとんど見られなくて、残念だったわけですが、本作でアリス×マリア分を補充(五年分ぐらいは補充したから、あと五年は待てる(笑))。唯寂論や汎淋説の語りから二人で散歩に出るシーンとか年甲斐もなくドキドキしたり、あの握手シーンでグッと来たり。惜しむらくは、アレの返還シーンが描かれなかったことかな。期待してたのになぁ。

「人は誰しも“淋しさ”を地模様にした絵を書いてる」と淋しさを拭いきれないアリスを今回マリアが癒すわけですが、淋しいのはアリスだけではなく、“孤高の名探偵”江神次郎さんもなんだよなぁ。それをアリス同様マリアが癒すのも一つの展開ですが、ここはEMCメンバー全員に期待したいところ。今回必要以上に就職の話が強調されたように思いますし、「学生アリスシリーズ」ではなく、「江神シリーズ」と表記されるようになったことから、みんな「学生」から逸脱していくんだろうなぁ、なんて想像してみたり。

 就職してバラバラになったEMC元メンバーが、江神さんのピンチに集う!みたいな展開になったら、萌えます! ……あっ、間違った(笑)。こっちだ→、燃えます!

 久しぶりに没頭して本を読んだなぁ、としみじみ(笑)。なんとなくですが、来年の読書傾向は本格ミステリーとSFになりそうな予感(あとはビジネス系とか哲学系かなぁ)。西澤保彦さんの作品を読み返そうかなぁ。

↓「青春もの」としては、やっぱりマリアが加入する『孤島パズル』から面白くなったような気がします。
月光ゲーム―Yの悲劇’88 (創元推理文庫)
孤島パズル (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)
双頭の悪魔 (創元推理文庫)
女王国の城 (創元クライム・クラブ)