『Darker Than Black−黒の契約者−』という作品は、あまり雄弁に事を語らなかったので、あるシーンに対する解釈が視聴者によってまちまちだったりします。当然、視聴者に解釈を委ねたシーンもあるかと思いますが、そうでないシーンも多々あるのではないか(つまり、視聴者の理解が追いつかなくて、その結果、解釈が多様化してしまっているのではないか)と思い、それらを解決できるページがあればいいなぁ、と思ったのがこの記事の始まりです。
 ただそうは言っても、僕の解釈が「絶対に正しいんだ」と主張するつもりはありませんので、「それは違うんじゃないか。あそこはこういう意味だろ」みたいな意見は随時募集しています。どんどんコメント欄に書いていってください。疑問内容についても随時募集中です。僕の方でも、見直して気になるところは随時更新していこうと思ってます。

 とりあえず、今は僕がパッと思いつく範囲で疑問を書き出し、それらに対する解釈を三つに分類して書いています。これ以降、第01話から第25話に至るまで、すべてのエピソードのネタバレを含んだ内容が書かれています。これからこの作品を見る予定がある方はご注意を。完全にネタバレです。


 現状、とりあえず解釈は三つに分類していこうと思います。

○公式に解説が成されたもの(DVDの特典ブックレットなど)

△僕の解釈の中でも“筋が通っている”と思われるもの。

×いわば、空想や妄想とも言える根拠が脆弱なもの。解釈に“仮定”が必要な場合など。



×第01話に登場するルイの対価が特別重いのは何故か?

 視聴者に「対価」という行為を印象づけるためと思われます。だって、他の契約者の対価を忘れても、ルイの対価は覚えているでしょう? 例えば、同じく「契約の星は流れた…」に登場したポールの対価は何だったでしょうか?

○ホンモノの篠田千晶とドールが入れ替わったタイミングはいつか?

 DVD第一巻初回限定版特典ブックレットより、黒<ヘイ>と遭遇するよりも前から。あの篠田千晶の記憶を埋め込まれたドール自体、ジャンが送り込んだもので、敵対組織を罠にかけるためのものだった。

○第02話ラストでドールが黒<ヘイ>の前に飛び出したのは何故か?

 これもDVD第一巻特典ブックレットより、不明。ランセルノプト放射光に魅入られた千晶の記憶がそうさせたのか、李舜生への想いがそうさせたのか、あるいは他に理由があるのか。視聴者に解釈が委ねられた所。

×舞がモラトリアムから脱したのは何故か?

 これは完全に“想像”。銀<イン>やハヴォックなどと言った、作中で心を取り戻したように表現されているキャラクターは、例外なく他者から“人間扱い”を受けている。舞がモラトリアムから脱したのもこのためではないか、と思ったり。つまり、他のモラトリアムが、その状態から脱することができなかったのは、能力を垂れ流す“化け物扱い”されていたから。こう考えると、お父さんが娘を救ったということで、なんとなくロマンチックですね。だけど、舞の悲劇はこの後、契約者を“人間扱い”しない組織に渡ったことにある。

×カプールや猫<マオ>が対価を支払わなくても良いのは何故か?

 Sunithaさん曰く、「対価は、失われた人間性を取り戻そうとする行為」(個人的に“失われた”というよりは“見失った”ぐらいのニュアンスだと感じますが)。それに、第13話・14話で主張した「形があれば、心が宿る」というテーマを絡めて考えると、自身の肉体を喪失するということは、すなわち、そこに宿るはずだった人間性をも完全に喪失することになるんじゃないか。そう考えると、対価を支払わなくて良いのは自明。取り戻すべき人間性がもう存在しないなら、その行為自体無意味。だけど、それでもカプールは自身の肉体を求めて、自ら対価を支払っていたんだよなぁ。切ない。

△第12話ラストで、銀<イン>に対して、黒<ヘイ>が「ありがとう」と言ったのは何故か? また、その時に飴をあげた理由は?

 第24話で判明した「ゲート奥地では観測霊などの案内がないと、思い通りに移動できない」という事実から、黒<ヘイ>を外まで案内したことに対して、「ありがとう」と言ったのではないか、と思われます。そして、あの飴玉は、“ドール”には本来必要ない(必要最低限の生命活動には必要がない)飴玉をあげることで黒<ヘイ>側の変化――それまで“ドール”として見ていた銀<イン>を、これから“人間”として見るという黒<ヘイ>の変化――を表現したものではないかと。