知らない世界に目を向けるきっかけになりたい
日常とかけはなれた境遇の人々を理解していくこと(Newtype8月号より引用)
あいばさんに倣って、僕もプレ感想を書いてみる。あいばさんはネット上にある、今となってはかなり多くの人がアクセスできる情報について話されたので、僕はアニメを見る人でもあまりアクセスしないアニメ情報誌の情報について。
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今の所、僕の知る限りでは、水島精二監督のインタビューが載っているのはNewtype8月号のみだと思うんですが(他にもあったら教えてください)、そのインタビューが非常に面白くて何度も読み返しています。
内容を簡単に説明すると、世界観を西暦に設定した理由、民族や宗教問題を扱うことについて、モビルスーツ(MS)のアクションは新機軸を目指していること、日常的ではないキャラクターを主人公に添えた理由、などが語られています。
それらがイチイチ面白いんですが、僕が特に強調したいのは民族や宗教問題に扱うことについて述べられているトコロでした。
あいばさんが仰るように、刹那達ソレスタルビーイングの在り方(戦争についての姿勢)に「矛盾」が含まれているのは番組放送前から明らかですが、この「民族や宗教問題」についても、監督のインタビューで「ただ、それで社会に問題提起したいとか、解決策を見せたいということでは決してないんです。番組を見る若い子たちが『あ、こういうことって本当にあるのかな?』ってネットで検索してくれたら、それだけで作品をつくった意味があるな、と思っているですよ」と民族や宗教問題を語るのが本作の旨ではないことが明かされています。
そして、これは僕個人の意見ですが、このソレスタルビーイングの在り方(その矛盾と、そして、じゃあどうやったら戦争はなくなるの?みたいな部分)についても、民族問題、宗教問題と同じような扱いをするんじゃないかなぁ、と思っています。つまり、それ自体を語ることが主目的というよりは、それらを通して別のテーマを語るのが目的。僕は受験生なので、現代文の問題に日々悪戦苦闘していますが、それで言うなら「戦争根絶」「民族問題」「宗教問題」というのは、テーマをわかりやすく表現するための“具体例”なんじゃないかと。あるいは、(少々表現がアレですが)お客様を釣る“餌”のようなものかなぁと。こういうことを言うのは不本意(というか、不謹慎)ですが、平和な日常を過ごしている僕たちにとっては、上記のような部分、わくわくするし、惹かれるでしょう?
つまり、現状明示されているファクターは、肉か骨かと問われれば、肉の方(でも、物語で大切なのは骨、骨格)。視聴者が食らいつくのも当然肉の方。いや、肉に食らいつくのはわかるよ。そりゃあ、骨より肉の方が旨いもんな! だから、別に肉に食らいつく人を否定しません(僕も肉は好きだし。鶏肉限定だけど)。ただ骨も時に趣深かったりするよ、とは思いますが。
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あんたはそんなことを言うけれど、じゃあ、本作はどういうことがテーマだと思っているんだ? 言ってみろよ、みたいに思う人もいるかと思うので、とりあえず監督のインタビューから“想像”してみる。まあ、僕の上の意見自体根拠がひどく脆弱、というか、ないに等しいですが。
僕が重要だと思ったのは、上記で引用した(雑誌ではわざわざ縦書きされている)この部分↓
知らない世界に目を向けるきっかけになりたい
日常とかけはなれた境遇の人々を理解していくこと
この文章そのままなんだけど、ようは今まで知らなかった(無関心だった)世界に目を向ける大切さ、今まで知らなかった(理解できなかった)人たちを理解することの大切さみたいなことが語られるんじゃないかと(戦争をしていたら相手のこととか相手の国の内情とかあまり知らないものでしょうしね)。僕はマンガが好きなので、マンガで例を挙げると、政治問題を考えるきっかけを与えてくれた『クニミツの政』、少年問題を考えるきっかけを与えてくれる『シバトラ』みたいな感じ(『シバトラ』はもう一つ惹かれなくて、一巻しか読めてませんが)。まあ、“想像”――妄想に過ぎませんけれど。
何にせよ、なるべく制作者が表現しようとしている部分を汲みとって、感想を書きたいなぁ、と思います。アニメ情報誌なんかのインタビューも積極的に取り入れていくので、どうぞよろしくお願いします。
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最後に少しだけインタビューを引用して終わりにしましょう。
ヒロイン的なキャラクターは登場するんですか、という質問に対する水島精二さんの答え↓
「まだ公開していないんだっけ? いますよ。24歳のヒロイン。苦労人です」
マ、マリナさんっ……(;´Д`)
Newtype (ニュータイプ) 2007年 08月号 [雑誌]
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