上手い絵ではないけれど、独特の色使いが心地良い。
 どんな人が描いてるのかな。(岡本桃寧)


 スピリッツで連載が開始された冬目景さんの等身大よりもちょっと小さなラブストーリー。もとは読み切り作品で(僕は未読)、今回満を持してのシリーズ化。

 美術予備校生の岡本桃寧(通称もも)は、友達の夏樹、由芽と共に平凡な予備校生活を送っている。食堂のソース入れに落書きをしたり、誰が描いているのかわからない絵が気になったりはするけれど、ほんわかした日常には変わりない。ある日、兄や姉共々、母に呼び出され、離婚話を口にされるけれど、それも結局うやむやに。
 何かが起こりそうで何も起こらない。
 ――かと思ったら……

 というお話。
 次回が「冬」掲載ということで、一体どの辺りが連載なのかと思ったりするけれど、この緩やかな掲載ペースもまた本作に合っているような気もします。時間がゆっくり流れるような、でも、それでいてしっかりと流れている……、そんな雰囲気が僕の好きな「イエスタデイをうたって」を彷彿するので、凄く良いッスこれ。次回が楽しみ(クロスオーバーしないかなぁ、熊さんとか浪とか)。
 いつ単行本化するかわからないので、気になる方はコンビニへレッツゴー!


 ももがまず松本の絵が気になって、絵を描いた本人にギャップを覚えるという流れは、おそらくもものお母さんと同じ流れなんだろうなぁ。お母さんもまずお父さんの絵のファンになって、本人を好きになって(あるいはそう思いこんで)駆け落ちをして必死で生きている間は絵と本人のギャップに気づかなくて、絵画教室が軌道に乗って余裕ができた今、ようやく自分を待たせてばかりいるお父さんに違和感を持った、みたいな。

 でも、お母さんがお父さんを愛している(感覚的にはラブよりライクな感じだけど)のは、事実でしょうから、関係修復はそう難しいものでもない。ももの小さな「恋」と重ねながら、お母さんとお父さんの関係も修復されていく……となると、個人的にはちょっとほろりと来そうかな。

 まあ、お父さんが出てこない限り、お母さんの方はまだよくわかりませんけれど。ももとお母さんの類似性を、対比項と取るか、共通項と取るかは今後の展開次第ですね。



 小さな「恋」の始まり、あるいはその一歩手前という感じで、ももと松本が、ソースの入れ物に交互に落書きを加えるのがなんだかすごく微笑ましい。(「イエスタデイをうたって」でも感じるけれど)冬目景さんの描く、美術予備校の雰囲気が何だか凄く良いな。ホントにあんな感じで、ゆったりと、のほほんとしているんだろうか。美大予備校生さん、もしいたら教えてください。