「そんな顔しないで。そのうち必ずきみの心を動かすような女性が現れる。縁というのは人智を超えているからね。例えば……」
 弥生が手を離すと、崇の頬のうえをすきま風が通り抜けた。
「今、あそこを歩いて行く女の子がそうかも知れない。あの可愛い子」


 今回のテーマはまさに「初恋」、そして、ヘンな「縁」。
 あの朴念仁、桑原崇(以降タタルさん)にも淡い初恋の思い出があり、そして、失恋の思い出があった。その相手によって、「縁」づけられた人が、今タタルさんの目の前にいて、タタルさんを想っているという、ハチャメチャな後付け設定に僕大満足。
 その他にも、非常にバカバカしい(褒め言葉です)接点が、タタルさんと棚旗奈々さんにはありまして、久しぶりに『QED』が楽しく読めましたよ。やっぱり、ある程度「はったり」が効いていた方が「QED」は面白いなぁ。「かもめは本を読まない。」で続きを読む