「何言ってんだい。自分で配りなよ。……何ぼけた顔してんだい、普通のことじゃないかい、そんなの」(海月荘の大家さん)

 秋田で「居場所」を得た健児からの贈り物(きりたんぽ)が、李さんの海月荘での「居場所」作りの第一歩になるというラストが余韻たっぷりで、また今週も良いものを観させてもらいました。健児も、李さんの海月荘での立場を危惧して、おすそ分けできるように多めに送ったんだろうなぁ。……いや、ストレートに李さんの食欲を考慮して、だったりして(笑)。


「世の中、みんな何かのためにがんばってんじゃないですかね?」

 という桜井健児の言葉が体現するように、今回のエピソードのテーマは「大切な人のために頑張る」ことだったみたい。それでも、前回の感想で述べたように、「居場所」がひとつのキーになっていたのは事実だと思います。

 それは例えば、各地を転々とし一定の「居場所」を求めず、ドールと一緒に逃げ続けるという選択をした桜井健児だったり(この場合は、ドールの傍が「居場所」)、「俺が気に入らなきゃ、いつでも、何も言わずにいなくなってくれていいから」と言う健児の手に自分の手を添えて自分の「居場所」を示すドールだったり、組長を暗殺してしまったが故に組での「居場所」を失い、最後に殺されてしまった一橋誠志さんだったり。

 そして、上述したように、李さんもその一人で。

 ノック音で締める今回のラストは、本当に良かったですね。
 李さん、遅すぎた近所回り、頑張ってください。



 ある意味、自業自得、因果応報的に殺されてしまった一橋さんでしたが、彼の過去を想像すると、ちょっと切なくなりますね。

 夢の中に現れた、日傘を差した女性。
 単車好きらしかった一橋さんが単車に乗らなくなった理由。
 右手の甲の傷。
 そして、「なあ、あんたには命を張ってでも、守りたいものってあるか。……俺にはねえんだ。でもよ、昔はあったんだぜ」という言葉の意味。

 その境遇は、ある意味、黒<ヘイ>さんとも共通していて、黒<ヘイ>と一橋さんの会話もなかなか見応えがありました。



 今回のテーマ「大切な人のために頑張る」に突き動かされるように、黒<ヘイ>を心配して駆けつけ、座敷にちょこんと座っている銀<イン>がめちゃくちゃ可愛い。

 前回のエピソードで、アンバーと交わした「あの人のこと、見ててあげてね」という約束を忠実に守っている辺りも可愛いですね。「俺を監視していたのか?」という問いに答えなかったのは、銀<イン>は銀<イン>なりに、アンバーとの会話を、女同士の大切な会話だと思っているからでしょうか。

「黒<ヘイ>、いつもと違った」というのも、黒<ヘイ>のことをいつも見ていないとわからないことですよね。これは、銀<イン>の視線(観測霊のものですが)が黒<ヘイ>の変化を映し出すっていうことなのかなぁ。
 第12話「壁の中、なくしたものを取り戻すとき…(後編)」で、初めて黒<ヘイ>が意識した銀<イン>の視線が、こういう風に黒<ヘイ>の変化に関わっていくとは、放送当時思いもしませんでしたよ。やっぱり、放送が終了したら、もう一度じっくり視聴して、作品に浸ろう。

DARKER THAN BLACK -黒の契約者- 3

DARKER THAN BLACK-黒の契約者- 劇伴





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