
ルルーシュの「願い」とゼロの「願い」があまりにかけ離れていたが故に、周りに理解されず、そして、唯一の「理解者」が……というストーリーラインが凄まじかった。
ここに来て、ようやくルルーシュの物語が始まったな、という印象を受けました。今までは結局ゼロの物語に過ぎなかったんだなぁ、と。
◇
とりあえず、ルルーシュとC.C.の関係の変化を中心にさらっと感想を。第24話「崩落のステージ」、第25話「ゼロ」は、あまりに色々なことが起きて、かつ面白かったので、全体的な感想はまた書くかも。
◇
これまでの放送を通じて描かれたC.C.とルルーシュとの関係は(ドラマCDを聴いている人は「女の斗い」なんかが参考になると思いますが)、あくまで「共犯関係」でした。それもC.C.とルルーシュとの関係というよりは、C.C.とゼロとの関係。
それが第23話「せめて哀しみとともに」でC.C.がルルーシュを抱きしめる辺りで、変化の兆しを見せ、そして、今回。
ルルーシュの最も大切なものであるナナリーの誘拐を機に、まずはC.C.からの歩み寄りが!
「お前が生きる目的なのだろう!」
と、共犯関係とはいえ、ルルーシュを、ゼロを、傍でずっと見ていたが故に、ルルーシュの本当に大切なものがC.C.にはわかっていた。だから、ナナリーの誘拐を、真っ先にルルーシュに知らせる。ルルーシュの願いは、ナナリーが幸せに暮らせるような世界を作ることだから。ナナリーがいなくなってしまっては、ルルーシュの願いは、ゼロの「願い」=「世界を手に入れる」に書き換えられてしまうから(事実、ルルーシュとC.C.以外の人にとっては、ゼロの「願い」が彼の願いとして映っている)。
ここで、C.C.はゼロの「共犯者」ではなく、ルルーシュの「理解者」とも言える存在へと昇華されます。しかし、ルルーシュから見れば、C.C.との関係はあくまでも「共犯関係」に過ぎないから、すぐには納得しません。
「ルルーシュ、私はお前の共犯者だ。お前の味方だ」
と説得するしかないC.C.が切ないし、
「一方的な都合ばかり!」
と毒づくしかないC.C.が切ないし、
そして、
「信じよう……。少なくとも、我々の共犯関係は続いているのだから」
と言われた時の、C.C.の表情が切ない。
◇
この辺りまで、ルルーシュ、ダメダメな男街道をまっしぐらですが、幸か不幸か、誰かが仕掛けたトラップにより、ルルーシュはC.C.の過去を垣間見、
「一人じゃないだろ。俺達は共犯者だ。お前が魔女なら、俺が魔王になればいいだけだ」
と、「共犯者」という言葉こそ使っていますが、明らかに今までの関係とは違っています。今までの関係からは、この言葉は生まれないはず。ルル様、格好良いぞ!
ここで、ルルーシュはC.C.の「理解者」となりますが、それが(お互い唯一の「理解者」であるという点が)、後の悲劇の切なさを倍増させます。
◇
C.C.の「理解者」となったルルーシュが、
「C.C.、無事か」
と、C.C.を気遣う言葉を言うのが、良いですね。それに応えるC.C.の、
「誰に向かって言っている?」
という言葉も素敵。
◇
そして、オレンジが執念の追跡を見せ、その結果……ということになるんですが、このオレンジの執念の追跡も、実はルルーシュの「行動の結果」だというのが、なんとも皮肉ですね。
スザクと和解できなかったのも、カレンに理解されなかったのも、ルルーシュの思惑、彼が何を求めて行動したのかということに原因があるわけでなく、すべて「行動の結果」にあった。
「勝てよ、ルルーシュ。自らの過去に。そして、行動の結果に」
とまで言ってもらったのに、全力で、過去に、行動の結果に、負けたルルーシュ。そして、彼を唯一理解してくれた「理解者」の退場は、彼の今後にどのような影響を与えるのか……。
◇
スザクには理解されず、カレンにも理解されず、黒の騎士団となれば理解されるはずもなく、今のルルーシュはまさにどん底状態。
でも、
「一縷の望みは、ほのかなる願いは、絶望からこそ生まれいづる」
と、最後にC.C.が語るように、そんなどん底状態の中、ルルーシュの「理解者」となりえる人物が、ちゃんと「いる」のが、ひたすら熱いです。
最も有力な人物は、もちろんシャーリーですね。
「ゼロを呼んで! ゼロは絶対私たちを守るから! でなきゃ、ヘンだもの。今までのことだって!」
と、すでに言ってのけてるわけですから、おそらくは続編で最初にルルーシュの「理解者」となるのは彼女。というか、すでに「理解者」という状態で始まるという可能性も十分あると思います。
そして、シャーリーに続いて、ルルーシュの「理解者」となるのは、(個人的に)カレンだと思います。
「あなたは、私たち日本人を利用していたの? 私のことも?」
と、完全に裏切られた感があって、なかなか根が深そうですが、カレンはルルーシュがギアスを使って、日本人を助けるのを見ています。この出来事をちゃんと思い出すというのが、カレンがルルーシュを「理解」する最初の一歩。そして、そのキーは扇要さんじゃないかなぁ。彼は、
「ゼロを追え……。彼の行動には意味があるはず。助けるんだ、ゼロを」
と、黒の騎士団の誰もが理解できなかったルルーシュの「行動」に「意味」があるといい、いつかの回で(ヴィレッッタを見つけた辺りだったかと)「君らしくなかった」みたいなことを言っているんですよね。扇さんにも、ルルーシュを「理解」する伏線が敷かれたいたんだなぁ、と今回改めて気がつきましたよ。やっぱり、「コードギアス 反逆のルルーシュ」、深いです、面白いです。
※追記
ナオトもまたルルーシュと同じ願いを持っていたんじゃないかなぁ、と思うんですよ。あのレジスタンスを作った表向きの理由は、もちろん日本を解放させることだった思うんですが、その目的の裏に、本当の願い――カレンが幸せに暮らせる世界を作るという願い――があったんじゃないかと。
そういう願いが仮にあったのなら、第一期でナオトの話があまり出なかったのも頷けます。一度は理解できなかったルルーシュを、彼と同じ目的を持って行動したナオトさんと重ねて、ようやくカレンがルルーシュを理解するという流れを作るためだとしたら……、ひたすら熱いです。そういう流れを作るためにも、ナオトさんをよく知る扇さんには生きてもらわなきゃいけません! がんばれ、扇さん。生きろ!
そして、最後に合流するのは、やっぱりスザクですよね(いや、最後はスザクじゃなくて……って線も十分あると思いますが。というか、そちらが本命)。
ユフィの一件で、完全に分かたれてしまったルルーシュとスザクですが、ルルーシュはちゃんとユフィと手を取り合うつもりだったし、ギアスを使って故意にあのようなことをさせたのではないことは、僕ら視聴者には痛いほどわかっている。そういう意味では、なんとも歯痒い状況ですが、まずは、その誤解を解くことが先決。
それはもう第23話の感想でも書きましたが、ユフィとの会話によって成されるんだろうなぁ、と(笑)。(笑)なんか付けていますが、それらしい伏線も引いているし、ルルーシュがそんなことを言っても、スザクが信じるわけがないので、それぐらいしか手はないだろうなぁ、と。
ただ、カレンのキーパーソンが扇さんだとしたら、スザクのキーパーソンはコーネリア様なんじゃないかなぁ、と思っていますよ。ゼロがルルーシュだと知って、一瞬でそれが「ナナリーのため」だと看破しましたから(カレンとスザクにはそれがわからなかった。ルルーシュが語らなかったことも原因ですが)。
正直、今回のトーキョー租界侵攻で、ギルフォードが死んだら、スザクとコーネリア様が良い関係になるんじゃないかなぁ、と思ってましたし(大切な人を亡くしたもの同士、傷を舐め合うように、と言ってしまうと言葉は悪いですが、イメージとしてはそんな感じ)。
ルルーシュを理解する素地があり、それぞれに強い影響を与える可能性があるといえば、やはりこの二人になるかなぁ、と思うんですけどね。スザクの場合は、さらにだめ押しで、死者との会話。
えっ、「ゼロのことは俺が一番よく知っている」らしい玉城さんはどうなのか、ですか? ……彼の出番はもうありません(笑)。
◇
「ゼロ…、バカな男だ。
逆らっても、抗っても、どうせ世界は変わらないのに」
「教えてやろう。大人の世界ではな、正しいことに価値はないんだよ」
「何かある…
俺の知らないところで何かが起こっている」
「力のない人間は我慢しなきゃいけないの? たとえ正義がこちらにあっても」
「やめろ。生きてる!」
「無力が悪だというのなら、力は正義なのか?!」
「間違っていたのは俺じゃない。世界の方だ」
続編予告の文字情報を書き取ってみました。「教えてやろう〜」というのが、いかにもルルーシュっぽい台詞なので、続編は、数年後、ルルーシュが大人になってからの物語なのかなぁ。
ルルーシュに似た人物を登場させて、そいつをルルーシュが割と近くで見ている、で、自分のことを顧みる、という構成が面白いかなぁ、と少し思いましたが。
◇
※別記考察
・最後の銃声は一体誰のものか。



コメント
かもめさま、はじめまして。「日々のたわごと」というアニメ感想サイトをやっている三上藤花と申します。
感想を拝見して、考察の深さに感じ入ったのでコメントをさせて貰います。
>今までは結局ゼロの物語に過ぎなかったんだなぁ
確かに、ルルーシュ=ゼロではありましたけど、ルルーシュとゼロは切り離されていましたものね。正体隠しものはいかにしてばらすかが重要になってきますし、その後の処理を間違うと物語が崩壊しますが、ご指摘の伏線(シャーリー関係は私も気が付いてのですが)を考えると、キャラの関係の変化がちゃんと次への布石になっているのがわかりますよね。
納得&スッキリです。
トラックバックさせて頂きます。Darker than blackは未視聴なので、秋に続きが始まりましたら、またお邪魔させて頂きます。
では、失礼します。
こんにちは。
初めまして、三上藤花さん。コメント&トラックバック、ありがとうございますー。
戦場から逃亡し、ゼロの仮面が真っ二つに割れたことで、ゼロという存在に一応の幕を下ろしたような印象を受けました。「一応」と書いたのは、ゼロという存在は消えても、ゼロとしての「行動の結果」に世界は翻弄され続けるのは想像に難くなく、ルルーシュはこれからその責をどのように背負うのかという見せ場を残していると思うからです。そういう意味では、分離されていたルルーシュとゼロが統合されるシーンが来るかもですよ(責を背負う辺りが、それに当たる感じで)。
続きです。
シャーリー、カレン、スザクのルルーシュへの理解ももちろん見所だと思いますが、ルルーシュがゼロという存在にどのように折り合いをつけるのか、楽しみです。あわよくば、ゼロという存在の「共犯者」であるC.C.と共に、折り合いをつけてほしいなぁ、と思うんですが、どうでしょうか。これだけは、まったく伏線を拾えていないので、予測がつきません。だから、すごく期待してしまいます(苦笑)。
シャーリー、スザクのラインはしっかりと見えていたのですが、最初の感想ではカレンのラインが不十分だったので、ナオトを絡めた内容を追記しておきました。これで、シャーリー、スザク、カレンのラインは安泰かなぁ、と(でも、ちょっと不安)。
あっ、それと全然関係なんですが、このブログでコメントを書く時は「かとう」という名前で書き込みますが、「かもめ」と呼んでもらっても全然問題ありませんので。ではっ!
初めまして。トラックバックありがとうございます。
感想を拝見して内容が深く突っ込んで考察されていたので、思わずコメントを書き込んでしまいました(笑)。
今回ルルーシュとオレンジがぶつかった事など、行動の結果・自らの過去が返ってきた辺りは同意ですね。細かい所では扇もヴィレッタを通じて行動の結果が返ってきていたり、やはり「コードギアス」は深いです。トウキョウ租界のニーナの核爆弾はそのままだったので、ここら辺もルルーシュが乗り越えなくてはならない試練として期待しております。
ナオトがルルーシュと同じ願いを持っていたという考察は面白いですね。ルルーシュ-ナナリーの関係と重ねていると考えると、カレンは妹ポジションになっているのでありえそうな気がしてきます。DVDのオーディオコメンタリーでもナオトの生死は曖昧になっているので、その辺りも続編は期待できそうですよね。
以上、長々と失礼致しました。事後報告ですがリンクさせていただいたので、これからも反応できる話題があったらまた来ます。ではでは。
こんばんは。初めまして、ケイタロウさん。
コメント&リンク、どうもです。こちらからもリンクして良いでしょうか?
トーキョー租界侵攻については、僕的にはもう「終わっている」という印象を受けました。あのまま黒の騎士団は敗北し、幹部は処刑され、日本のレジスタンス活動は沈静化、そして、数年後……というのが、続編をやりやすそうなシチュエーションかなぁ、と。正直に言いますと、ナナリーを失って数年間一人で暮らし、やさぐれたルルーシュが見たいだけですが(笑)。
次回予告を見る限り、かなりルルーシュに近い(そして、「僕」の方のスザクにも似た)新キャラが登場するんじゃないかなぁ、とは思うんですけどね。「何かある…」から「無力が悪〜」までが新キャラの台詞で、他がルルーシュの台詞だと僕は(勝手に(笑))思っていますが、どうでしょうか。
続きです。
ニーナの核弾頭については、租界侵攻戦を速やかに沈静化させるために使われそうな気がします。何せ、あれを放ったまま戦闘を続けていると、いつ飛び火し、租界が消し飛ぶかわかりませんからね。
あの核弾頭の真価は、もっと先のお話にあると感じました。ゼロの「行動の結果」として、あの世界に核技術が生まれてしまったわけですから、その技術によって……みたいな感じで。
いろんな形でゼロは世界に影響を与えてしまったわけですが、どういう形でルルーシュはその責を負うのか、何度も書いていますが、楽しみです。
続きです。長すぎっ!(セルフ突っ込み)
ナオトに関しては、死んでいても生きていても、あまり違いはないかなぁ、と(強いて言えば、カレンを導く人が扇さんからナオトに変わる)。今さら生きているといわれると、今まで何やってたんだ!? と突っ込みたくなります(笑)。まあ、カレンが好きなので(というか、小清水亜美さんが好きなので)、カレンが幸せになるなら、それはそれで全然オッケイですが。
やさぐれルルーシュは確かに一度見てみたいですね。昔の面影も少し残しつつ、ダメダメになってたら確実に萌えます(笑)。
リンクの件ですが、了解しました。これからもよろしくお願いします。
こんにちは。 やっと見れたのでコメントしに来てしまいました。
関西の方が早いので、もう昔のことの様かもしれませんが(笑)、お邪魔させていただきますw
24.25話も、スゴかったですね…!! こんなにストーリーと登場人物の心情を描ききってる作品も珍しいく、一つ一つがグッときました。
いろいろな人が変化していく中、玉城はどこまでも玉城でしたね(笑)。 あぁいう人が一人いると、周囲の変化との良い比較対象になるのかもしれませんけど。
でもやっぱり、C.C.との一連のやり取りが、言葉に出来ないくらい良かったです。 かもめさんの感想で、観た時の感動を追体験できた気がします。 さすがです!!
ケイタロウさん、どうもー。
リンク、張っておきました。
やさぐれルルーシュと共に、大人になったカレンとか、大人になっても全然背が伸びないリヴァルとか見たいですよ(笑)。意外や意外、ミレイさんに恋するロイドとか、逆にロイドさんに恋するミレイさんとか(リヴァル哀れ!)。
こちらこそ、よろしくお願いします。
りるさん、こんばんはー。
いえいえ、昔の話にするにはあまりに衝撃的な24話、25話でしたよ。「王の力はお前を孤独にする」という第1話のC.C.の予言通りに、ギアスがルルーシュを孤独に突き落としていった展開に、痺れました。今がどん底であとは浮上するだけだと思うので、そういう意味ではこれからは気楽に見れるかも、なんて楽観視していたりしますが(笑)。
玉城はある意味「黒の騎士団」の総意だなぁ、と思いました。みんなゼロのことをわかっているつもりだったけれど、実は全然わかっていなかったというのを、玉城が体現している感じです。
C.C.とのやり取りは、本当に良かったですね。これはもう、ルルーシュとのカップリングはC.C.以外考えられません。それぐらいラストのC.C.は魅力的でした。