「雨、好き?」
「少し……好きになった」(四方茉莉&森宮依人)


「日常」と「非日常」とが錯綜する中、依人に「変化」が起きたお話。
 BGMがない状態から、辻堂の登場と共に音楽がかかるシーンは痺れるぅ。『sola』は、音の変化とシーンが噛み合っていて、非常に格好良い音楽を鳴らしていると思います。うん、サントラ買おう。


 前回の感想で、写真云々とはいいましたが、正直な話、第一話以降ほとんど出ていないから、それほど重要じゃないかなぁ、とも思っていました。
 が、今回ちょっとだけ登場。
 と共に、第一話以降行方不明(?)だった空色の傘も登場。やっぱり、アイテム的にはこちらの方が重要なんだろうなぁ。
 ……と、さっそく相合い傘なんていう羨ましいシチュエーションに浸る依人にかる〜く嫉妬(笑)。



 辻堂の目的というのは、夜禍になってしまった繭子を人間に戻すということだと思うんですが、それには別の夜禍の命が必要みたいですね。あー、『sola』がゲームになったら(制作中という噂がある)、誰を生かすために誰を殺すのかというシビアな選択に、依人が苦悩しそうですね。いや、まあ、元に戻す方法が本当に他の夜禍の命を必要とするのなら、ですが。



「雨、好き?」
「ん? あんまり好きじゃないなぁ、空が見えないから」


 という依人から、

「雨、好き?」
「少し……好きになった」


 という依人へと、今回変化したわけですが、その変化をもたらしたのが――結果として――変化しない(できない)茉莉だったというのがひたすら熱い。

 永遠に変化する空に憧れるけれど、自分は不老不死の夜禍ということで変化できない茉莉。だけど、周りを変えることはできた。
 そして、実は茉莉自身も今回変化の兆しを見せていたのがまたまた熱い。



 変化の兆しというのは、もちろん辻堂に反抗しようとしたところですね。辻堂に殺されそうになり、生を諦めたかのように見えた茉莉が、「依人の空」に気づいて、辻堂に対抗する。このシーン、挿入はされませんでしたが、きっと、

「約束守るよ。青空、必ず見せるからさ」

 という依人の言葉を、茉莉は思い出したのでしょう。
 この約束がなければ、茉莉はそのまま諦めてしまったんじゃないかなと思うんですね。常人よりも遙かに長い時を生きてきて、常人が経験するよりも遙かに多い絶望を経験してきたのでしょう。諦める理由は、すでに十分あると思います。
 されど、諦めても諦めても、諦めきれない空への憧れ。

 茉莉は、まだ見ぬ空のため、辻堂の手首を掴み……、風化させる。が、あの力を人に使ったことがなかったせいか、茉莉は困惑し外へ飛び出してしまう。

 そして、木陰での、あの茉莉の生気のない顔が印象的。再び生を諦めた茉莉を呼び戻したのは、

「約束したんだ。空を見せるんだ!」

 という依人の言葉。ううっ、主人公らしい振る舞いを今までしてこなかった依人の、最初の主人公らしい言動がこれとは……、涙腺を刺激します。



「約束」という言葉に反応したのか、辻堂にも感じるところがあったみたいで引きます(雨が降ってきたからというのもあるでしょうが)。

 考えてみれば、まあ二人には共通部分がありますよね。一方は夜禍に空を見せるため、一方は夜禍を元の人間に戻すため。依人の方も、ひいては夜禍から人へと戻る方法があるのかという問題に収斂されていく以上、辻堂の方は、現在は先を進んでいる。……そうか、辻堂は依人のifあるいは先駆者なんですね。

 うん、普通に二人が会話するシーンを早く見たいな。

 二人が共通の目的を持っている限り、協力態勢に入ることはまず間違いありませんが、来るべきその日に備えて、今からワクワクしておきます。



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sola オリジナルサウンドトラック