「僕、なんか好きなコ、できたみたい」(滝下)

 滝下くんが恋をするという新展開。その他にも、クマさん(井沢さん)が実家に帰っちゃったり、ハルとの関係に決定打を打つことができずに悩む陸生とか、「イエスタデイをうたって」らしく煩悶としています。でも、話自体は進んでますよね?


 間近で恋する同級生を見ることで、自分の恋がいかに同年代のものとかけ離れているのか、浪は知ることになるのかな。第五巻のエピソードで、「オレには逃げ道なんて無いぞ」と呟いた浪だけど、それは自分で逃げ道を塞いでいるにすぎないんじゃないかとも思ったり。お兄さんのことに縛られているのは榀子さんだけでなく、浪も同じなんだよなぁ。

 だから、榀子×浪というのは、違和感があるんですよ。馴れ合いにしかみえない感じですか。「イエスタデイをうたって」という作品のメインキャラクターは、少なからず視野が狭そうな、なんとなく閉ざされた印象を与えますが、榀子と浪はそのトップ層。兄縛り組。お兄さんも罪なことをするよなぁ。

 そういう意味では、五巻ラストに、ハルに対する言葉に出来ない気持ちに気づいて、榀子なのかハルなのかと、いまだに悩み続けているリクオは一歩先んじている感じがするんですよねぇ。ハルはなんというか、数歩先んじていますけれど。



 クマさんと杏子さんはどうなるのか、というのも、気になるところ。クマさんの夢であった大学院進学も、父親が倒れ余命わずかということで、厳しくなってきました。実家の染物屋のこともあるし、そのまま実家に残りそうだけど、そこはクマさんの男気に期待したい。リクオと違って、ずっと一途に杏子さんを思い続けていたんだから。
 クマさん、がんばれ!